治療歴のない進行性尿路上皮がんを対象にPADCEVを評価したEV-302試験の結果が2023年ESMOで発表

2023/11/30

文:がん+編集部

 治療歴のない進行性尿路上皮がんを対象に、エンホルツマブ ベドチン(製品名:PADCEV)を評価したEV-302試験の結果が発表されました。

「PADCEV+キイトルーダ」、化学療法と比較して死亡リスクを53%減少、がんの進行または死亡リスクを55%減少

 アステラス製薬株式会社は2023年10月23日、EV-302試験の結果を2023年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で報告したことを発表しました。

 EV-302試験は、治療歴のない局所進行性または転移性尿路上皮がん患者さん886人を対象に、「エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)」併用療法と化学療法を比較した第3相試験です。主要評価項目は全生存期間、無増悪生存期間、副次評価項目は客観的奏効率、疼痛進行までの時間などでした。

 解析の結果、「エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ」併用療法は化学療法と比較して統計学的有意かつ臨床的に意義のある全生存期間および無増悪生存期間の延長が認められ、死亡リスクが53%減少、がんの進行または死亡リスクが55%減少しました。併用療法と化学療法それぞれの全生存期間の中央値は31.5か月と16.1か月、無増悪生存期間の中央値は12.5か月と6.3か月でした。また、客観的奏効率はそれぞれ68%(完全奏効29.1%、部分奏効38.7%)と44%(完全奏効12.5%、部分奏効32.0%)でした。

 安全性に関しては、グレード3以上の有害事象(3%以上)は、斑状丘疹状皮疹、高血糖、好中球減少症、末梢性感覚ニューロパチー、下痢、貧血で、以前に報告されたEV-103試験と同様の結果で、新たな安全性上の問題は確認されませんでした。

 同社は、次のように述べています。

 「患者さんに新たな治療選択肢を提供することで、アンメットメディカルニーズの高い局所進行性または転移性尿路上皮がんの治療に一層の貢献をしていきます」