再発または転移性の子宮頸がんを対象にTIVDAKを評価したinnovaTV 301試験の最新結果を発表

2023/12/08

文:がん+編集部

 再発または転移性の子宮頸がんを対象に、チソツマブ ベドチン(製品名:TIVDAK)を評価したinnovaTV 301試験の結果を発表。全生存期間の延長が認められました。

TIVDAK、化学療法と比較して死亡リスクを30%減少

 ジェンマブとSeagen社は2023年10月22日、innovaTV 301試験の結果を発表しました。

 innovaTV 301試験は、1次または2次全身療法の治療歴がある再発または転移がある子宮頸がん患者さん502人を対象に、チソツマブ ベドチンと治験責任医師が選択した化学療法単独(トポテカン、ビノレルビン、ゲムシタビン、イリノテカン、ペメトレキセド)を比較した第3相試験です。主要評価項目は全生存期間、主な副次評価項目は無増悪生存期間、客観的奏効率、奏効までの期間、奏効期間、安全性、生活の質などでした。

 解析の結果、チソツマブ ベドチンは化学療法と比較して、死亡リスクが30%減少し、統計学的有意な全生存期間の改善が認められました。また、無増悪生存期間についても統計学的に有意な改善が認められ、チソツマブ ベドチンは化学療法と比較して、病勢進行または死亡リスクが33%減少しました。そのほか、客観的奏効率、病勢コントロール率は、以下の通りです。

客観的奏効率
チソツマブ ベドチン:17.8%
化学療法:5.2%
病勢コントロール率
チソツマブ ベドチン:75.9%
化学療法:58.2%

 安全性に関しては、治療に関連した有害事象の多くはグレードが低く、⽀持療法や投与量の変更で対処可能なものでした。化学療法でグレード3以上の有害事象が認められた患者さんの割合は 45.2%であったのに対し、チソツマブ ベドチンでは 29.2%でした。チソツマブ ベドチンで特に注意が必要な有害事象のうち、最も頻度の⾼いグレード3以上のものは、末梢神経障害(5.2%)、眼障害(3.2%)、出⾎イベント(0.8%)でした。

 European Network of Gynaecological Oncological Trial groupsの共同設⽴者であり、innovaTV 301/ENGOT cx-12/GOG 3057 試験の治験責任医師である Ignace B. Vergote, 医学博士.は、次のように述べています。

 「⼦宮頸がん患者さんは、初回治療後に再発または転移した場合、治療選択肢がほとんどありません。再発または転移性⼦宮頸がんの⼀般的な患者さんの集団で観察された良好なデータは、TIVDAKが臨床診療を再構築し、新たな治療選択肢を必要としている患者さんに希望を与える可能性を⽰しています」