小児急性骨髄性白血病を対象に大量シタラビン療法を評価したAML-12試験の結果を発表

2023/12/21

文:がん+編集部

 小児急性骨髄性白血病を対象に、大量シタラビン療法を評価したAML-12試験の結果が発表されました。過去最良の治療成績が得られたほか、微小残存病変(MRD)が最も強力な再発予測因子となることが判明しました。

3年無イベント生存率63.1%、3年全生存率80.3%と最良の成績

 国立成育医療研究センターは2023年11月8日、小児急性骨髄性白血病を対象としたAML-12試験の結果を発表しました。

 AML-12試験は、0~18歳までの 359人の小児急性骨髄性白血病患者さんを対象に、初回治療として大量シタラビン療法と従来の通常量シタラビン療法を比較した臨床試験です。

 試験の結果、3年無イベント生存率が63.1%、3年全生存率が80.3%と過去に世界中で報告された小児急性骨髄性白血病の治療成績のなかでも最良の成績が認められました。しかし、小児急性骨髄性白血病に対して、大量シタラビン療法では治療成績の向上は得られず、従来から使用している抗がん剤を強める方法では、今以上の治療成績の向上が困難なこともわかりました。

 また本試験では、再発予測因子として従来は顕微鏡を用いて骨髄中の残存白血病の有無を確認する方法をとっていましたが、フリーサイトメトリー法を用いて白血病細胞固有の表面マーカーを調べることで、より微小なレベルの残存白血病の有無を確認するMRDの検出を実施。その結果、MRDが最も強力な再発予測因子となることがわかりました。

 同研究センターは今後の展望として、次のように述べています。

 「現在、本臨床試験(AML-12)の後継試験である AML-20臨床試験が実施されています。AML20臨床試験では、AML-12臨床試験の結果、再発予測因子としての意義が証明されたフローサイトメトリー法によるMRDを用いたリスク層別化が行われています。さらに、新しいリスク層別化の結果、中間リスク群または高リスク群であることがわかった患者さんに対しては、ゲムツズマブ・オゾガマイシンという抗体薬物複合薬を使用することで、さらなる治療成績の向上を目指しています。これは、AML-12臨床試験において、従来の抗がん剤を強める方法ではいま以上の治療成績向上が難しいことが証明されたことを踏まえた結果です。このようにMRDを用いた正確な再発予測に基づいた適切な治療選択を行うことで、治療成績の向上と晩期合併症の軽減の両立につながることが期待されています」