PSMA陽性転移性去勢抵抗性前立腺がんを対象に[177Lu]Lu-PSMA-617を評価した臨床試験の結果を発表

2023/12/27

文:がん+編集部

 タキサン系化学療法を受ける前の進行性PSMA陽性転移性去勢抵抗性前立腺がんを対象に、[177Lu]Lu-PSMA-617を評価したPSMAfore試験の結果を発表。無増悪生存期間の改善が認められました。

177Lu]Lu-PSMA-617、アンドロゲン受容体経路阻害薬と比較して病勢進行または死亡リスクを59%低下

 ノバルティスファーマは2023年10月29日、PSMAfore試験の結果を発表しました。

 PSMAfore試験は、タキサン系化学療法を受ける前の転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さん469人を対象に、[177Lu]Lu-PSMA-617とアンドロゲン受容体経路阻害薬を比較した第3相試験です。主要評価項目は画像診断に基づく無増悪生存期間、主な副次的評価項目は全生存期間、症候性骨関連事象発現までの期間、客観的奏効率、奏効期間などでした。

 解析の結果、[177Lu]Lu-PSMA-617はアンドロゲン受容体経路阻害薬と比較して病勢進行または死亡リスクを59%低下し、統計学的有意かつ臨床的に意義のある改善が認められました。それぞれの無増悪生存期間中央値は、[177Lu]Lu-PSMA-617は12.0か月、アンドロゲン受容体経路阻害薬5.6か月でした。また、[177Lu]Lu-PSMA-617の投与は、アンドロゲン受容体経路阻害薬の連日経口投与と比較して生活の質が高く、その他の有効性評価項目においても臨床的に意義のある有効性評価項目の改善を認めました。

 安全性に関しては、全グレードの有害事象で最も多かったのは主にグレード1~2で、口内乾燥(57.3%)、無力症(31.7%)、悪心(31.3%)、貧血(24.2%)、疲労(22.9%)でした。

 Tulane University School of Medicine泌尿器科准教授でPSMAfore試験の共同治験責任医師兼治験運営委員会委員長のOliver Sartor医師は、次のように述べています。

 「無増悪生存期間のデータは目を見張るもので、治療効果はVISION試験に認めたものとほぼ同等でした。私たちは、早期の代替選択肢を必要とする患者さんに[177Lu]Lu-PSMA-617が早期に治療の選択肢となることを期待しています」