高リスク局所進行子宮頸がんを対象に「キイトルーダ+同時化学放射線療法」を評価した臨床試験の結果を発表

2024/01/12

文:がん+編集部

 新たに診断された高リスク局所進行子宮頸がんを対象に、「ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)+同時化学放射線療法」を評価したKEYNOTE-A18試験の結果を発表。無増悪生存期間の改善が認められました。

「キイトルーダ+同時化学放射線療法」、「プラセボ+同時化学放射線療法」と比較して、病勢進行または死亡リスクを30%低減

 米メルク社は2023年10月20日、KEYNOTE-A18試験の結果を発表しました。

 KEYNOTE-A18試験は、新たに高リスク(リンパ節転移陽性ステージ1B2~2B期、リンパ節転移の有無を問わない3~4A期)の局所進行子宮頸がん患者さん1,060人を対象に、根治目的の治療として「ペムブロリズマブ+同時化学放射線療法」併用療法と「プラセボ+同時化学放射線療法」併用療法を比較した第3相試験です。同時化学放射線療法では、シスプラチン同時併用下で実施する外照射による放射線治療とそれに続く小線源治療が行われました。主要評価項目は無増悪生存期間、全生存期間、副次評価項目は完全奏効率、客観的奏効率、安全性などでした。

 中間解析の結果、「ペムブロリズマブ+同時化学放射線療法」併用療法は「プラセボ+同時化学放射線療法」併用療法と比較して、病勢進行または死亡リスクを30%低減。24か月時点の無増悪生存率はそれぞれ67.8%と57.3%でした。全生存期間の解析では、「ペムブロリズマブ+同時化学放射線療法」併用療法は「プラセボ+同時化学放射線療法」併用療法と比較して良好な傾向でしたが、今回の中間解析時点では、全生存期間のイベント数は限られており、データは不完全で統計学的な有意差は示されませんでした。

 安全性に関しては、これまでに報告されている安全性プロファイルと一貫しており、新たな安全性シグナルは特定されませんでした。

 治療に関連した有害事象は、「ペムブロリズマブ+同時化学放射線療法」併用療法と「プラセボ+同時化学放射線療法」併用療法、それぞれ96%で認められました。グレード3〜5の有害事象はそれぞれ67.0%、60.6%でした。投与中止に至ったのは、「ペムブロリズマブ+同時化学放射線療法」併用療法0%、「プラセボ+同時化学放射線療法」併用療法0.2%でした。また、死亡に至った有害事象はどちらも2例(0.4%)でした。

 全グレードの免疫介在性有害事象は「ペムブロリズマブ+同時化学放射線療法」併用療法32.6%、「プラセボ+同時化学放射線療法」併用療法11.7%でした。グレード3〜5の免疫関連有害事象はそれぞれ4.2%、1.1%でした。全グレードの免疫関連有害事象のうち最も高頻度(2例以上)に認められたのは「ペムブロリズマブ+同時化学放射線療法」併用療法では甲状腺機能低下症(19.3%)でした。免疫関連有害事象による死亡例はありませんでした。

 Catholic University of Rome産婦人科学の准教授で、ENGOTの主要治験責任医師であり、本試験全体を統括する首席治験責任医師のドメニカ・ロルッソー教授は、次のように述べています。

 「今回の試験は、新たに高リスク局所進行子宮頸がんと診断された患者さんを対象とした第3相試験で初めて、がん免疫療法が標準治療と比較して無増悪生存期間の延長を示しました。特にこの20年間、この疾患の患者さんに対する治療の選択肢の進歩がみられなかったことから、キイトルーダとの併用療法群が同時化学放射線療法単独群と比較して疾患進行または死亡のリスクを30%低下させた今回の試験結果は注目せずにはいられません」

 また、University of Arizona College of Medicineおよび、Creighton University School of Medicineの産婦人科教授でがん専門医のブラッドレイ・モンク博士は、次のように述べています。

 「局所進行子宮頸がんと診断された患者さんの予後は不良で治療の選択肢は限られています。今回の結果により、がん免疫療法をより早期の子宮頸がんにも実施することで、現在の標準療法と比較して患者さんのアウトカムを改善できる可能性があります」