治療歴のない低リスク骨髄異形成症候群の貧血治療薬としてレブロジルを評価したCOMMANDS試験の結果を発表

2024/02/15

文:がん+編集部

 治療歴のない低リスク骨髄異形成症候群の貧血治療薬としてルスパテルセプト(製品名:レブロジル)を評価したCOMMANDS試験の結果が2023年米国血液学会(ASH)年次総会で発表されました。

レブロジル、ポエチンアルファと比較して主要評価項目の赤血球輸血非依存性を改善

 ブリストル マイヤーズ スクイブ社は2023年12月9日、COMMANDS試験の結果を2023年米国血液学会(ASH)年次総会で報告したことを発表しました。

 COMMANDS試験は、赤血球輸血依存性で赤血球造血刺激因子製剤による治療歴のない超低リスク、低リスク、中リスクの骨髄異形成症候群患者さん363人を対象に、貧血治療薬として、ルスパテルセプトとエポエチンアルファを比較評価した第3相試験です。主要評価項目はヘモグロビン値の平均1.5g/dL以上の上昇を伴う12週間にわたる赤血球輸血非依存性(RBC-TI)で、主な副次評価項目は試験開始後1週目から24週目における8週間以上の赤血球反応(HI-E)、12週間以上のRBC-TIおよび24週間にわたるRBC-TIでした。

 解析の結果、ルスパテルセプトはエポエチンアルファと比較して主要評価項目の24週間以内のヘモグロビン値(平均1.5g/dL)の上昇を伴う12週間以上のRBC-TI達成率の改善が認められました。それぞれの達成率はルスパテルセプトが60.4%、エポエチンアルファが34.8%でした。副次評価項目である8週間以上のHI-Eの達成率は、ルスパテルセプト74.2%、エポエチンアルファ53%、12週間以上のRBC-TIの達成率は、ルスパテルセプト68.1%、エポエチンアルファ48.6%でした。また、12週間以上の輸血非依存性を達成した患者さんの治療反応期間(奏功期間)は、ルスパテルセプト126.6週間、エポエチンアルファ89.7週間でした。

 安全性に関しては、これまでに報告されている安全性プロファイルと一貫していました。また、急性骨髄性白血病への進行および合計死亡者数は、ルスパテルセプトとエポエチンアルファで同等でした。治療下で多く発現した有害事象のうち患者さんの10%以上で報告されたものは、下痢、疲労、新型コロナウイルス感染症、高血圧、呼吸困難、悪心、末梢性浮腫、無力症、めまい、貧血、背部痛および頭痛でした。報告された疲労と無力症の割合は、時間の経過とともに減少することが示されました。

 同社の血液・腫瘍・細胞療法(HOCT)領域後期臨床開発責任者でシニアバイスプレジデントのAnne Kerber氏は、次のように述べています。

 「赤血球造血刺激因子製剤を含む現在の標準治療では、低リスク骨髄異形成症候群の患者さんが得られるベネフィットに限りがある場合が多くなっています。これらの検証的データにより、レブロジルが同疾患による貧血治療にパラダイムシフトを起こす可能性がさらに裏付けられました」