再発・難治性の慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫を対象にブレヤンジを評価した臨床試験の結果を発表

2024/02/20

文:がん+編集部

 再発または難治性の慢性リンパ性白血病・小リンパ球性リンパ腫を対象に、リソカブタゲン マラルユーセル(製品名:ブレヤンジ)を評価したTRANSCEND CLL 004試験の追跡調査の結果を発表しました。

ブレヤンジ、完全奏効率は20%で統計学的に有意な有効性を示す

 ブリストル マイヤーズ スクイブ社は2023年12月10日、TRANSCEND CLL 004試験の追跡調査の結果を2023年米国血液学会年次総会で発表したことを報告しました。

 TRANSCEND CLL 004試験は、BTK阻害薬およびBCL-2阻害薬による治療後に病勢進行した再発または難治性の慢性リンパ性白血病患者さんを対象に、リソカブタゲン マラルユーセルを評価した2つのパートで構成された第1/2相試験です。第1相用量漸増パートでは、安全性および続く第2相拡大コホートの推奨用量が評価され、第2相パートでは、第1相パートの単剤療法群における推奨用量でリソカブタゲン マラルユーセルが評価されました。第2相パートの主要評価項目は不完全な骨髄回復を伴う完全寛解を含む完全奏効率でした。

 中央値23.5か月の追跡調査の結果、リソカブタゲン マラルユーセルの治療を受けた患者さんにおける完全奏効率は20%で統計学的に有意な有効性が認められました。また、検出不能な微小残存病変の高い割合は、より長期の追跡調査でも引き続き確認され、血液中の検出不能な微小残存病変率は64%、骨髄中では60%でした。全奏効率は44%に上昇し、奏効期間の中央値は35.3か月でした。主要解析時点で最良総合効果が部分奏効であった1人の患者さんで、18か月時点で奏効の深化が認められ、追加の投与なく完全奏効を達成しました。主要解析時点で完全奏効を達成した患者さん9人のうち、8人が完全奏効を維持しており、1人が最終評価を完全奏効として試験を完了しました。

 安全性に関しては、管理可能かつ予測可能な安全性プロファイルを示しました。グレードを問わないサイトカイン放出症候群が85%で認められ、グレード3のサイトカイン放出症候群が8%で発現し、グレード4/5のサイトカイン放出症候群は報告されませんでした。グレードを問わない神経系事象が45%で報告されました。グレード3の神経系事象が18%、グレード4の神経系事象が1%で発現し、グレード5の神経系事象は報告されませんでした。

 同試験の治験責任医師であり、シティ・オブ・ホープ国立医療センターCLLプログラムディレクター、血液学および造血細胞移植部門准教授であるTanya Siddiqi医師は、次のように述べています。

 「再発または難治性慢性リンパ性白血病の患者さんは、現在の治療選択肢で完全奏効を得られない場合が多く、奏効の持続性も限られています。TRANSCEND CLL 004試験の長期追跡調査において、リソカブタゲン マラルユーセルによって達成された完全奏効と奏効の持続性は、この患者集団では前例のないものです。また、時間の経過とともに奏効の深化が認められ、安全性プロファイルは管理可能かつ予測可能でした。これらの結果に基づき、リソカブタゲン マラルユーセルには、再発または難治性慢性リンパ性白血病の治療を大きく進展させる可能性があると言えるでしょう」