新たに多発性骨髄腫と診断された移植適応の患者さんを対象にD-VRd療法を評価したPERSEUS試験の結果を発表
2024/02/28
文:がん+編集部
新たに多発性骨髄腫と診断された移植適応の患者さんを対象に、ダラツムマブ・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(製品名:DARZALEX FASPRO)をベースとする4剤併用療法レジメンを導入・地固め療法として評価したPERSEUS試験の結果を発表。無増悪生存期間の改善が認められました。
D-VRd療法、VRd療法と比較して病勢進行または死亡リスクを58%低下
ヤンセンファーマは2023年12月12日、PERSEUS試験の結果を2023年米国血液学会総会のLate Breaking Oral Sessionで報告するとともに、「The New England Journal of Medicine」にも掲載されたことを発表しました。
PERSEUS試験は、移植適応の新たに多発性骨髄腫と診断された患者さんを対象に、「ダラツムマブ・ボルヒアルロニダーゼ アルファ+ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(D-VRd療法)」に続く「ダラツムマブ・ボルヒアルロニダーゼ アルファ+レナリドミド(D-R療法)」維持療法と、「ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(VRd療法)」に続くレナリドミド維持療法を比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、副次評価項目は全体的な完全奏効以上の割合、全体的な微小残存病変陰性率、全生存期間などでした。
48か月時点の解析では、D-VRd療法はVRd療法と比較して病勢進行または死亡リスクを58%低減し、無増悪生存期間の改善が認められました。それぞれの無増悪生存率は84.3%と67.7%でした。また、D-VRd療法は奏効の深さもVRd療法と比較して高く、厳格な完全奏効の割合はそれぞれ69.3%と44.6%、完全奏効以上の割合はそれぞれ87.9%と70.1%でした。全体的な微小残存病変陰性率でも、D-VRd療法はVRd療法よりも高値で、それぞれ75.2%と47.5%でした。微小残存病変陰性持続率(12か月以上)は、D-VRd療法はVRd療法の2倍以上の値でした。全生存期間のデータはまだ十分ではありませんが、D-VRd療法はVRd療法と比較して良好な傾向にあることが認められました。
安全性に関しては、これまでに認められている安全性プロファイルと一貫していました。D-VRd療法とVRd療法で10%より多く見られたグレード3または4の血液学的・非血液学的有害事象は、それぞれ、好中球減少症(62.1%/51.0%)、血小板減少症(29.1%/17.3%)、下痢(10.5%/7.8%)、肺炎(10.5%/6.1%)、発熱性好中球減少症(9.4%/10.1%)でした。
エラスムス・ロッテルダム大学の血液学分野の教授であり、Erasmus MC Cancer Instituteの所長でもあるPieter Sonneveld医学博士は、次のように述べています。
「ダラツムマブをベースとする導入療法、地固め療法、維持療法レジメンによる治療を受けた移植適応の多発性骨髄腫患者さんで達成された無増悪生存期間は、この患者集団を対象とした第III相臨床試験において前例のないものです。しかしながらダラツムマブベースのレジメンは、多発性骨髄腫に対する多くの臨床試験で臨床的有用性を示しており、それらの知見も踏まえた上での本試験の結果は、期待された通りの結果と言えます。病状の進んだ患者さんやハイリスクの患者さんを含む、臨床的に意義のある部分集団全般で得られている結果は、この複雑な疾患だと新たに診断された患者さんの治療にあたる臨床医にとって有望なものです」