「ターゼナ+イクスタンジ」、BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移がある去勢抵抗性前立腺がんの治療薬として国内承認
2024/03/07
文:がん+編集部
タラゾパリブ(製品名:ターゼナ)が、エンザルタミド(製品名:イクスタンジ)との併用療法による「BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺がん」の治療薬として国内承認されました。
ターゼナ、イクスタンジとの併用においてプラセボと比較して無増悪生存期間の延長を示す
ファイザー株式会社は2024年1月18日、タラゾパリブが、「BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺がん」の治療薬として国内における製造販売承認を取得したことを発表しました。今回の承認は、TALAPRO-2試験の結果に基づくものです。
TALAPRO-2試験は、去勢抵抗性前立腺がんに対する全身抗悪性腫瘍療法歴がなく、相同組換え修復遺伝子変異の有無を問わない転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんを対象に、「タラゾパリブ+エンザルタミド」併用療法と「プラセボ+エンザルタミド」を比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間で、安全性は66日以内に発現した有害事象発生数などで評価されました。試験の結果、「タラゾパリブ+エンザルタミド」併用療法は「プラセボ+エンザルタミド」と比較して、無増悪生存期間の延長が認められました。安全性に関しては、これまでに認められている安全性プロファイルと一致しており、新たな安全性シグナルは認められませんでした。
横浜市立大学附属市民総合医療センター泌尿器・腎移植科の上村博司部長は、次のように述べています。
「前立腺がんの薬物治療は日々進歩しているものの、転移性去勢抵抗性前立腺がんに進展すると難治性の疾患になります。特にBRCA遺伝子変異を有する患者さんでは従来のホルモン剤が効きにくくなり、疾患の進行が速くなることがあり、予後が悪いことが知られています。TALAPRO-2試験では転移性去勢抵抗性前立腺がんの1次治療としてタラゾパリブとエンザルタミドの併用療法が評価され、BRCA遺伝子変異を有する患者さんにおいて、臨床的に意義のある疾患進行または死亡リスクの減少が認められました。この承認により、タラゾパリブとエンザルタミドの併用療法は予後不良なBRCA遺伝子変異を有する転移性去勢抵抗性前立腺がんの患者さんにとって新たな治療選択肢となります」