キイトルーダ+化学放射線治療、ステージ3~4Aの子宮頸がんに対する効能・効果でFDAが承認

2024/04/02

文:がん+編集部

 ステージ3~4Aの子宮頸がんに対する効能・効果でペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)と化学放射線療法との併用療法が米国食品医薬品局(FDA)に承認されました。

「キイトルーダ+化学放射線治療」、「プラセボ+化学放射線治療」と比較して病勢進行または死亡リスクを41%低下

 米メルク社は2024年1月12日、ステージ3~4Aの子宮頸がんに対する適応でペムブロリズマブと化学放射線療法との併用療法がFDAから承認を取得したことを発表しました。今回の承認は、KEYNOTE-A18試験の結果に基づくものです。

 KEYNOTE-A18試験は、過去に子宮頸がんに対する根治的手術、放射線治療、または全身療法を受けたことのない子宮頸がん患者さん1,060人を対象に、「ペムブロリズマブ+化学放射線治療」と「プラセボ+化学放射線治療」を比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、全生存期間でした。

 試験の結果、全患者さんを対象とした解析で、「ペムブロリズマブ+化学放射線治療」は「プラセボ+化学放射線治療」と比較して無増悪生存期間の統計学的有意な改善が認められました。また、ステージ3~4Aの患者さんを対象とした探索的解析において、病勢進行または死亡リスクが41%低下。無増悪生存期間(中央値)は未達でしたが、12か月時点での無増悪生存率は、それぞれ81%と70%でした。

 安全性に関しては、「ペムブロリズマブ+化学放射線治療」の患者さんの1.4%に死亡に至った副作用が発生し、大腸穿孔、尿路性敗血症、敗血症、膣出血が各0.3%発生しました。重篤な副作用は、「ペムブロリズマブ+化学放射線治療」の30%で認められ、1%以上の患者さんに認められた重篤な副作用は、尿路感染症(2.7%)、尿路性敗血症(1.4%)、敗血症(1%)でした。7%の患者さんが副作用によりペムブロリズマブの投与を中止されました。完全な中止に至った副作用で頻度が高かった(1%以上)のは下痢(1%)でした。43%の患者さんが副作用によりペムブロリズマブの投与を中断しました。ペムブロリズマブの投与の中断に至った副作用で頻度が高かった(2%以上)のは、貧血(8%)、新型コロナウイルス感染症(6%)、SARS-CoV-2検査陽性(3.1%)、好中球数減少(2.7%)、下痢(2.7%)、尿路感染症(2.7%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ値の上昇(2.4%)でした。ペムブロリズマブで最も高頻度に認められた副作用(10%以上)は、悪心(56%)、下痢(50%)、嘔吐(33%)、尿路感染症(32%)、疲労(26%)、甲状腺機能低下症(20%)、便秘(18%)、食欲減退(17%)、体重低下(17%)、腹痛(12%)、発熱(12%)、甲状腺機能亢進症(11%)、排尿困難(11%)、皮疹(11%)、骨盤痛(10%)でした。

 University of Arizona College of Medicineおよび、Creighton University School of Medicineの産婦人科教授でがん専門医のブラッドレイ・モンク博士は、次のように述べています。

 「ペムブロリズマブと化学放射線治療の併用療法が本日、承認されたことは素晴らしいニュースです。FIGO 2014進行期分類の3〜4A期子宮頸がんと新たに診断された患者さんに、抗PD-1抗体によるレジメンの選択肢が初めて提供可能となります。このペムブロリズマブによるレジメンは、対象患者さんにとって新たな治療の選択肢となり、本日の承認は子宮頸がんの治療を前進させる重要な意味を持つものです」