レンバチニブ、新たな肝臓がん一次治療薬として承認に期待

2018/02/19

文:がん+編集部

エーザイが適応追加承認申請中、2018年中には承認される見通し

 近畿大学は2月10日、分子標的薬レンバチニブについて、肝臓がんのひとつである肝細胞がん対象の臨床試験で、生命予後向上の有効性と安全性を実証することに成功したと発表しました。

 現在、肝臓がんの治療法として、がんが肝臓内に限られている場合は、切除手術、ラジオ波焼却療法、肝動脈(化学)塞栓療法、肝動注化学療法などがあります。これらの治療法で効果が得られない、もしくは進行がんや転移がんの場合は、分子標的薬が主な治療選択となりますが、分子標的薬は、現在、ソラフェニブ(製品名:ネクサバール)の1種類のみです。しかし、その生存期間延長効果は限定的であり、手足症候群などの副作用も強いことから、新たな薬剤の開発が期待されていました。一次治療薬の臨床試験は、2017年までに8件の新規薬剤などの臨床試験が行われましたが、すべて失敗に終わっています。今回のレンバチニブの臨床試験は、10年ぶりに成功した臨床試験です。

 今回の臨床試験は、20か国154施設で切除不能の肝臓がん954例に対し、ソラフェニブレンバチニブを無作為に1:1で割り付けて投与した後、生命予後改善効果を直接比較した試験です。その結果、主要評価項目の全生存期間は、レンバチニブ群13.6か月(中央値)、ソラフェニブ群12.3か月(中央値)でした。また、2次評価項目については、独立画像判定による無増悪生存期間は、レンバチニブ群7.3か月(中央値)、ソラフェニブ群3.7か月(中央値)、無増悪期間はレンバチニブ群7.4か月(中央値)、ソラフェニブ群3.7か月(中央値)、奏効率はレンバチニブ群40.6%、ソラフェニブ群12.4%でした。同試験のレンバチニブ群で高頻度に確認された有害事象上位5つは、高血圧、下痢、食欲減退、体重減少、疲労であり、これまでに認められた安全性プロファイルと同様だったとしています。

 今回の研究結果は、「The Lancet」のオンライン版に掲載されました。現在、今回の臨床試験の結果を受けて、エーザイ株式会社がレンバチニブの肝細胞がんに対する適応追加の承認申請を提出しており、2018年中には承認される見通しだとしています。