HR陽性・HER2低発現で化学療法未治療の乳がん対象、エンハーツを評価したDESTINY-Breast06試験の結果を発表

2024/05/23

文:がん+編集部

 HR陽性かつHER2低発現の化学療法未治療の乳がん患者さんを対象に、トラスツズマブ デルクステカン(製品名:エンハーツ)を評価したDESTINY-Breast06試験の結果が発表され、主要評価項目である無増悪生存期間の改善が認められました。

エンハーツ、化学療法と比較して統計学的有意かつ臨床的に意義のある無増悪生存期間の改善を示す

 第一三共株式会社は2024年4月30日、DESTINY-Breast06試験の結果を発表しました。

 DESTINY-Breast06試験は、内分泌療法およびCDK4/6阻害薬または複数の内分泌療法による前治療を受けたHR陽性かつHER2低発現の化学療法未治療の転移再発乳がん患者さん866人を対象に、トラスツズマブ デルクステカンと化学療法を比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、主な副次的評価項目は全生存期間、安全性などでした。

 試験の結果、トラスツズマブ デルクステカンでは化学療法と比較して統計学的有意かつ臨床的に意義のある無増悪生存期間の改善が認められました。また、全生存期間は、トラスツズマブ デルクステカンは化学療法と比較して、初期の改善傾向は認められたものの、初回中間解析時点では、十分な追跡調査期間に達していなかったため、引き続き評価が継続されます。

 安全性に関しては、これまでに報告されている安全性プロファイルと同様の傾向で、新たな安全性シグナルは認められませんでした。

 同社は、次のように述べています。

 「化学療法未治療のHR陽性かつHER2低発現(HER2超低発現を含む)乳がん患者さんに新たな治療の選択肢を提供できるよう、本試験結果に基づき、日本を含めたグローバル承認申請に向けた準備を進めてまいります」