限局型小細胞肺がんを対象にイミフィンジを評価したADRIATIC試験の結果を発表

2024/07/12

文:がん+編集部

 限局型小細胞肺がんを対象に、「デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)+トレメリムマブ(製品名:イジュド)」併用療法とデュルバルマブ単剤療法を評価したADRIATIC試験の結果を発表。デュルバルマブ単剤療法の全生存期間の改善が認められました。

イミフィンジ、プラセボと比較して死亡リスクを27%低下

 アストラゼネカは2024年6月2日、ADRIATIC試験の結果を2024年米国臨床腫瘍学会年次総会で報告したことを発表しました。

 ADRIATIC試験は、同時化学放射線療法後に進行のない限局型小細胞肺がん患者さん730人を対象に、デュルバルマブ単剤および「デュルバルマブ+トレメリムマブ」を、プラセボと比較した第3相試験です。主要評価項目はデュルバルマブ単剤とプラセボを比較した全生存期間と無増悪生存期間、副次的評価項目は「デュルバルマブ+トレメリムマブ」とプラセボを比較した全生存期間と無増悪生存期間、安全性、QOL指標などでした。

 事前に規定された中間解析の結果、デュルバルマブ単剤はプラセボと比較して死亡リスクを27%低下。それぞれの全生存期間の中央値は、デュルバルマブ55.9か月、プラセボ33.4か月で、3年生存率はそれぞれ57%と48%でした。また、無増悪生存期間の中央値は、それぞれ16.6か月と9.2か月で、2年後に病勢進行を認めなかった患者さんの割合は、それぞれ46%と34%でした。

 Sarah Cannon研究所の最高科学責任者であり、本試験の治験責任医師のDavid R. Spigel氏は、次のように述べています。

 「ADRIATIC試験の結果は、再発率が高く、患者さんの5年生存率がわずか15~30%という非常に悪性度の高い疾患である限局型小細胞肺がんにおける画期的な進歩を表しています。デュルバルマブは、限局型小細胞肺がん患者さんの生存率を数十年ぶりに改善させた全身療法であり、この疾患における新たな標準治療となるはずです」