慢性リンパ性白血病の一次治療としてイムブルビカを評価したRESONATE-2試験、追跡調査結果を発表
2024/08/19
文:がん+編集部
慢性リンパ性白血病の一次治療として、イブルチニブ(製品名:イムブルビカ)を評価したRESONATE-2試験の最長10年間の追跡調査の結果を発表。持続的な生存期間の改善が認められました。
イムブルビカ、リューケランと比較して持続的な生存期間の改善を示す
Janssen-Cilag International NV社は2024年6月14日、RESONATE-2試験の最終解析結果を発表しました。
RESONATE-2試験は、17p欠失がない慢性リンパ白血病または小リンパ球性白血病と診断された前治療歴のない65歳以上の患者さん269人を対象に、一次治療としてイブルチニブ単剤療法とクロラムブシル(製品名:リューケラン)を比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、副次評価項目は全生存期間、全奏効率、安全性などでした。
最長10年間の追跡調査の結果、イブルチニブはクロラムブシルと比較して病勢進行または死亡リスクを84%低減。無増悪生存期間の中央値は、それぞれ8.9年と1.3年で、有意かつ持続的な効果が認められました。ハイリスク遺伝子変異であるTP53変異、IGHV変異なし、11q欠失の3因子で層別したいずれのグループでも、イブルチニブの方が無増悪生存期間は長期に及んでいました。
また、全生存期間の解析においても、イブルチニブはクロラムブシルと比較して有意かつ持続的な改善が認められました。全生存期間中央値は、イブルチニブ未達で、9年時点での全生存率は68%でした。10年時点で、患者さんの27%がイブルチニブによる治療を継続中で、投与期間の中央値は6.2年でした。
安全性に関しては、長期の治療において良好な忍容性を示し、新たな安全性シグナルは認められませんでした。注目すべき有害事象の発現率は、高血圧が8~9年時点で28%、9~10年時点で26%、心房細動が8~9年時点で8%、9~10年時点で9%でした。治験期間全体で、投与量減量に至った有害事象(グレード不問)が25%で認められ、このうち82%で有害事象はすべて消失しました。イブルチニブの中止に至った有害事象(グレード不問)の発現率は、治験期間全体で33%、8~9年時点で13%、9~10年時点で7%でした。9~10年時点で、増悪によりイブルチニブの治療を中止した患者さんはいませんでした。
治験責任医師であるNiguarda病院のAlessandra Tedeschi医師は、次のように述べています。
「イブルチニブが10年以上前に初めて使用できるようになり、慢性リンパ性白血病治療の流れは大きく変わりました。そして今日においても、イブルチニブは、B細胞性腫瘍の標準治療の中心となっています。RESONATE-2試験の最終解析では、慢性リンパ性白血病におけるあらゆる標的治療薬の中で、最も長期にわたる追跡調査により、イブルチニブの良好なベネフィット・リスク・プロファイルが長期にわたって持続することが確認され、慢性リンパ性白血病患者さんの余命を、健常な方と同程度まで延長できる可能性が示唆されました」