ベネクレクスタ、再発・難治性のマントル細胞リンパ腫の治療薬として国内申請

2024/08/28

文:がん+編集部

 再発または難治性のマントル細胞リンパ腫の治療薬として、ベネトクラクス(製品名:ベネクレクスタ)が国内承認申請されました。

「ベネクレクスタ+イブルチニブ」、「プラセボ+イブルチニブ」と比較して無増悪生存期間を改善

 アッヴィ合同会社は2024年7月12日、ベネトクラクスについて、再発または難治性のマントル細胞リンパ腫の治療薬としての適応追加を厚生労働省に対し承認申請したと発表しました。今回の申請は、SYMPATICO試験とM20-075試験の結果に基づくものです。

 SYMPATICO試験は、再発または難治性のマントル細胞リンパ腫患者さん267人を対象に、「ベネトクラクス+イブルチニブ」併用療法と「プラセボ+イブルチニブ」を比較した第3相試験です。主要評価項目は腫瘍崩壊症候群、用量制限毒性、有害事象、全奏効率、奏効期間、無増悪生存期間、全生存期間、副次的評価項目は完全奏効、全奏効率などでした。

 無増悪生存期間(追跡期間中央値51.2か月)の解析の結果、「ベネトクラクス+イブルチニブ」併用療法31.9か月、「プラセボ+イブルチニブ」22.1か月で、統計学的有意な改善が認められました。

 M20-075試験は、再発または難治性のマントル細胞リンパ腫患者さんの日本人患者さん13人を対象に、「ベネトクラクス+イブルチニブ」併用療法の有効性と安全性、薬物動態を評価した第2相試験です。主要評価項目は完全奏効率、副次的評価項目は完全奏効または部分奏効率、奏効期間、無増悪生存期間、全生存期間などでした。

 追跡期間中央値9.6か月の追跡調査の結果、完全奏効率、全奏効率ともに83%、奏効期間、無増悪生存期間、全生存期間の中央値は未達でした。

 同社は、次のように述べています。

 「現在、日本ではマントル細胞リンパ腫に対する標準治療は確立されていません。自家造血幹細胞移植治療に適応のある患者さんは、強化型化学療法後に自家造血幹細胞移植を行うことを推奨されていますが、大部分のマントル細胞リンパ腫患者さんは高齢であり、強化型化学療法が適応とならないことが多いのが現状です。強化型化学療法が困難なマントル細胞リンパ腫患者さんにおいては、推奨された複数の初期治療法がある一方で、これらの初期治療では高い全奏効率を示すことがあっても、大部分の患者さんは最終的には再発します。再発した場合、化学療法の効果は薬剤に関係なく一次治療の効果より劣るほか、急速な進行が認められ得るため、良好な忍容性を維持しつつ再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫患者さんの予後の改善を目指す新たな治療法の開発が求められています」