切除可能な非小細胞肺がん対象にイミフィンジを評価したAEGEAN試験の主要評価項目の達成をODACが認める
2024/09/09
文:がん+編集部
切除可能な非小細胞肺がんの周術期治療として、デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)を評価したAEGEAN試験の結果に基づき、米国食品医薬品局(FDA)の抗がん剤諮問委員会(ODAC)が主要評価項目の無イベント生存期間を達成したことを認めました。
イミフィンジ周術期レジメン、化学療法と比較して再発・進行イベントまたは死亡リスクを32%低下
アストラゼネカは2024年7月25日、AEGEAN試験の主要評価項目である無イベント生存期間を達成したことをODACが認めたと発表しました。
AEGEAN試験は、PD-L1発現の有無を問わず、切除可能なステージ2A~3Bの非小細胞肺がん患者さん802人を対象に、周術期治療としてのデュルバルマブを評価した第3相試験です。主要評価項目は、病理学的完全奏効率、無イベント生存期間、主要な副次評価項目は病理学的奏効率、無病生存期間、全生存期間、安全性、QOLなどでした。
中間解析結果は、デュルバルマブ周術期レジメンは化学療法と比較して、再発・進行イベントまたは死亡リスクを32%低下。統計学的に有意かつ臨床的に意義のある結果が認められました。病理学的完全奏効の最終解析では、デュルバルマブ周術期レジメン17.2%と術前化学療法4.3%でした。
デュルバルマブの忍容性はおおむね良好で、術前および術後療法において新たな安全性シグナルは認められませんでした。さらに、デュルバルマブを術前化学療法に追加した場合、これまでに報告されている安全性プロファイルと一致しており、化学療法単独と比較して患者さんの手術完遂を損なうことはありませんでした。
同試験において、2023年10月にThe New England Journal of Medicineにて発表された良好な主要結果に基づいて、2023年9月にFDAが承認申請を受理しています。
今回、AEGEAN試験におけるデュルバルマブの忍容性のある安全性プロファイルをもって主要評価項目である無イベント生存期間を達成したことをODACが認めました。議論においては、同試験の試験デザインからは、周術期レジメンの術前化学療法と術後補助療法におけるそれぞれの寄与を明確に導き出すことはできないものの、患者さんにとって重要なレジメンになる可能性があるとODACが指摘しました。
テキサス大学アンダーソンがんセンターの胸部/頭頸部腫瘍科教授および科長であるJohn V. Heymach医学博士は、次のように述べています。
「切除可能な非小細胞肺がん患者さんの大半が、手術および術前化学療法を受けたとしても再発に直面しています。ODACは、手術前後にデュルバルマブを用いることで、この喫緊のアンメットニーズに対応できる可能性を認めました。これにより、この根治を目指せる本適応において、患者さんが進行や再発イベントがなく生きられる時間を大きく延ばすことが期待できます」