食道がん・胃がん対象、「腸内細菌叢移植療法」の安全性と有効性を評価する臨床試験開始

2024/09/24

文:がん+編集部

 食道がんまたは胃がん患者さんを対象に、腸内細菌叢移植療法の安全性と有効性を評価する臨床試験が開始されました。

腸内細菌叢移植、健康な人の便に含まれる腸内細菌叢を注入しバランスのとれた腸内細菌叢を構築する医療技術

 国立がん研究センターは2024年8月9日、胃がん・食道がん患者さんを対象に、「免疫チェックポイント阻害薬+腸内細菌叢移植療法」併用に関する臨床試験を開始したことを発表しました。

 腸内細菌叢移植は、健康な人の便に含まれている腸内細菌叢を、疾患を持つ患者さんの腸に内視鏡により注入し、バランスのとれた腸内細菌叢を構築する医療技術です。

 がん領域の腸内細菌叢移植研究では、免疫チェックポイント阻害薬による治療効果が得られない悪性黒色腫の患者さんに対して、腸内細菌叢移植により腸内細菌叢を調節することでがんに対する免疫が増強され、治療の奏効割合が改善される可能性が示唆されています。また、食道がんや胃がんを含む、さまざまながん種において、臨床試験が実施されています。

 また、食道がんや胃がんの治療では、免疫チェックポイント阻害薬により治療の選択肢が広がっている一方で、治療効果が得られない患者さんに対しての新たな治療法の開発が必要とされています。

 今回開始された臨床試験では、切除不能進行・再発食道がんおよび胃がん患者さんを対象に、「免疫チェックポイント阻害薬+腸内細菌叢移植療法」を実施し、その安全性および有効性が検討されます。対象となる患者さんに対しては、抗菌薬3種類(アモキシシリン、ホスホマイシン、メトロニダゾール)を1週間投与した後、腸内細菌叢溶液を大腸内視鏡で1回投与する腸内細菌叢移植を実施。腸内細菌叢移植の翌日以降より免疫チェックポイント阻害薬を含む治療が実施されます。