【週刊】がんプラスPickupニュース(2024年12月23日)

2024/12/23

文:がん+編集部

オキサリプラチンで誘発される末梢神経障害に対する治療薬・予防薬の開発に成功

 富山大学は2024年12月5日、プラチナ製剤のオキサリプラチンによって誘発される化学療法誘発性末梢神経障害に対する治療薬または予防薬の開発に成功したことを発表しました。研究グループは、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)が、オキサリプラチンによって誘発される異痛症(通常では痛みとして感じない程度の刺激でも痛みを感じてしまう感覚異常)に関与しているメカニズムを解明。さらに、マウスを用いた動物実験でPACAPの受容体であるPAC1に対する低分子拮抗薬PA-8が、オキサリプラチン誘発の異痛症に対し、治療効果と予防効果を示すことを明らかにしました。

EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんを対象にダトポタマブ デルクステカンを評価した臨床試験プールの解析結果を発表

 第一三共株式会社は2024年12月6日、EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんを対象にダトポタマブ デルクステカンを評価したTROPION-Lung05試験とTROPION-Lung01試験のプール解析の結果を発表しました。

 EGFR遺伝子変異がある非小細胞肺がん患者さん117人(TROPION-Lung05:78人/TROPION-Lung01:39人)を対象としたプール解析の結果、客観的奏効率42.7%(完全奏効5人、部分奏効45人)、奏効期間の中央値7.0か月、病勢コントロール率86.3%、無増悪生存期間の中央値5.8か月、全生存期間の中央値15.6か月でした。また、117人のうち、オシメルチニブ(製品名:タグリッソ)による前治療歴のある96人を対象とした解析では、客観的奏効率44.8%(完全奏効4人、部分奏効39人)、奏効期間の中央値は6.9か月、病勢コントロール率85.4%、無増悪生存期間の中央値5.7か月、全生存期間の中央値14.7か月でした。

 安全性について、新たな懸念は認められませんでした。

NPM1変異・KMT2A再構成の急性骨髄性白血病対象、ziftomenibの用量漸増試験KOMET007の結果発表

 Kura Oncology社と協和キリン株式会社は2024年12月9日、KOMET007試験の結果を発表しました。同試験は、NPM1変異・KMT2A再構成の急性骨髄性白血病を対象に、ziftomenibの最も適した投与量を調べる第1a相試験です。ziftomenibは、シタラビン・ダウノルビシン(7+3 療法)やベネトクラクス・アザシチジンといった標準治療と併用されました。

 中間解析の結果、予後不良リスク群の初発急性骨髄性白血病における、「ziftomenib+(7+3療法)」の完全奏効率は NPM1変異が100%、KMT2A再構成は83%でした。データカットオフ時点で、NPM1変異の100%、KMT2A再構成の96%の患者さんが生存しており、追跡期間中央値はそれぞれ31週と19週でした。また、ベネトクラクス既治療歴を含む再発・難治性のNPM1変異またはKMT2A再構成がある急性骨髄性白血病において「ziftomenib+ベネトクラクス・アザシチジン」併用療法の有望な薬効が認められました。

 ziftomenibは全ての用量において、標準治療との併用で概ね良好な忍容性を認めました。