ラロトレクチニブ、NTRK遺伝子融合異常のがんに対する有効性を示すデータを発表

文:がん+編集部

NTRK遺伝子融合を有するがん患者さんに、年齢がん種を問わず効果が期待できるTRK阻害剤

 ドイツ・バイエル社とロクソ・オンコロジー社は2月21日、神経栄養因子チロシンキナーゼ受容体(NTRK)遺伝子融合がみられる小児および成人のがん患者を対象としたラロトレクチニブの臨床試験の結果を医学誌ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)に発表しました。今回発表されたデータは、米国臨床腫瘍学会(ASCO)2017で発表されたデータに加え、3か月間の患者さんのフォローアップデータも含まれています。

 今回のデータは、成人を対象とした第1相試験および第2相試験(NAVIGATE試験)、小児を対象とした第1/2相試験(SCOUT試験)に参加した55例を評価したものです。対象は、前治療や腫瘍組織の診断方法に関わらず、NTRK遺伝子融合を有する4か月の乳児~76歳の成人患者さんで、がん種は、唾液腺、小児性繊維肉腫、甲状腺、大腸、肺、メラノーマ、GISTなど17種類に及びます。解析の結果、主要評価項目であるラロトレクチニブによる全奏功割合は75%でした。解析時点で奏功例の86%が、ラロトレクチニブの継続投与か根治的手術が実施されました。有害事象の多くは、グレード1~2でした。因果関係を問わないグレード3~4の有害事象は、貧血が11%、アラニンアミノ基転移酵素(ALT)値またははアスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)値の上昇が7%、体重増加が7%、好中球減少が7%という結果でした。治療との関連性があるグレード4や5の有害事象はなく、8例の減量症例がありましたが、有害事象による投与中止にいたった症例はありませんでした。

 NAVIGATE試験の国際治験責任者のデビッド・ハイマン医学博士は「NEJMで発表した論文でまとめたデータは、ラロトレクチニブ がトロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)融合を有するがん患者さんにとって可能性があることが示されています。このデータは、あらゆる年齢の進行性固形がんの患者さんを対象とするTRK融合スクリーニングの実施が妥当であることを示しています」とコメントしています。

 ラロトレクチニブは、TRKを標的とした新薬として開発が行われています。最近の研究から、NTRK遺伝子が他の遺伝子と異常に融合することで、がんが発生することがわかっています。このNTRK遺伝子に関わるTRKを選択的に阻害することで、TRK融合があるがんの増殖シグナル経路を断ち切り抗腫瘍効果を発揮します。NTRK遺伝子融合は稀にしか起こりませんが、乳がん大腸がん肺がん、膵臓がんなど、成人や小児を問わずさまざまな肉腫に見られます。ラロトレクチニブのように遺伝子に関わる薬が開発されることで、ますます遺伝子に応じた最適な治療を選択するプレシジョン・メディシンの重要性が増してきます。

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