悪性黒色腫 術後補助療法としてペムブロリズマブを承認申請

2018/05/16

文:がん+編集部

 悪性黒色腫の術後補助療法として、免疫チェックポイント阻害薬のペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)の適応追加承認申請が行われました。ステージIIIの悪性黒色腫患者さんを対象の国際共同第3相試験では、無再発生存期間(RFS)を有意に延長したことが示されています。

ステージIIIの悪性黒色腫患者さんを対象に無再発生存期間を有意に延長

 MSD株式会社は5月10日、免疫チェックポイント阻害薬のペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)について、悪性黒色腫の術後補助療法としての製造販売承認事項一部変更承認申請を行ったと発表しました。

 国際共同第3相試験のEORTC1325/KEYNOTE-054試験では、完全切除後の再発リスクが高いステージIIIの悪性黒色腫患者さんを対象に、ペムブロリズマブの術後補助療法を評価しました。試験の結果、プラセボと比較して、ペムブロリズマブが無再発生存期間(RFS)を有意に延長したことが示されたとしています。

 悪性黒色腫は皮膚がんのひとつで、色素産生細胞の増殖を制御することが難しくなります。日本では約4,000人が罹患し、年間約600人の患者さんが亡くなっているとされています。悪性黒色腫は、主に腫瘍の厚さと表面の潰瘍、がんがリンパ節あるいは他の部位や内臓に転移しているかどうかに基づいて、I~IV期(ステージ)に分類されます。ステージIIIの悪性黒色腫は、所属リンパ節まで広がる腫瘍で、原発腫瘍と転移したリンパ節を切除しても、ほとんどの患者さんが再発し、転移性に進行します。ステージIIIBの患者さんの10年生存率は約43%で、ステージIIICになると約24%だといわれています。

 ペムブロリズマブは、2017年2月15日に日本での販売を開始しました。現在、「根治切除不能な悪性黒色腫」、「PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」、「再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫」、「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮がん」の効能・効果で承認を取得しています。また、2018年3月30日には、「局所進行性または転移性の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)がん」の効能・効果で、承認申請を行っています。

※がんが再発しない状態で、生存している期間のことです。