キザルチニブが急性骨髄性白血病治療薬として米FDAのブレイクスルーセラピーに指定
2018/08/10
文:がん+編集部
急性骨髄性白血病の治療薬キザルチニブが米FDAのブレイクスルーセラピーに指定されました。キザルチニブの開発が順調に進み米国で承認された場合、日本での承認も期待されます。
FLT3-ITD変異がある再発または難治性の急性骨髄性白血病患者さんの、全生存期間を有意に延長
第一三共株式会社は8月1日、キザルチニブがFLT3-ITD変異がある再発または難治性の急性骨髄性白血病(AML)患者さんの治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)の画期的治療薬(ブレイクスルーセラピー)に指定されたことを発表しました。
今回のブレイクスルーセラピーの指定は、FLT3-ITD変異がある再発または難治性のAML患者を対象とした第3相臨床試験QuANTUM-R試験の結果に基づくものです。この試験の結果、キザルチニブは既存の化学療法剤と比較して、全生存期間(OS)※1を有意に延長したそうです。安全性についても、新たな懸念は認められなかったとしています。
AMLは、骨髄で白血病細胞が異常に増殖することで、正常な血液細胞がつくられることが阻害される血液がんです。FLT3-ITD変異はAMLの中で比較的多くみられる遺伝子変異で、AML患者さんの約25%にあると考えられています。FLT3-ITD変異があるAML患者さんは、変異のない患者さんと比べて再発率が高く、生存期間が短いとされています。
ブレイクスルーセラピーとは、命にかかわる疾患に関する薬の開発や審査の促進を目的としたFDAの制度です。今回の指定により、キザルチニブの開発が順調に進み米国で承認された場合、日本での承認も期待されます。
※1 患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。