「つばさ」血液疾患患者さんへ より良い生活につながる情報提供を

橋本明子さん
NPO法人血液情報広場・つばさ理事長 橋本明子さん

2018.5 取材・文 大場真代

 血液情報広場・つばさは、血液疾患患者さんとその家族を支援するNPO法人です。息子さんが慢性骨髄性白血病(CML)の診断を受けたことをきっかけに骨髄バンクの立ち上げに関わった、理事長の橋本明子さんに活動に対する思いをうかがいました。

専門家による情報を伝える活動

 NPO法人血液情報広場・つばさは、血液疾患患者さんとその家族への情報提供をするために、1994年に日本つばさ協会として発足しました。現在の主な活動は、患者さんへ最新の治療情報をお伝えすることです。そのひとつとして、年に7回~10回、全国各地で治療情報フォーラムを開催しています。フォーラムでは、医師による正しい医療情報の発信とともに、近年では患者さんによる経験講演もプログラムに加えて、治療体験と暮らし方なども共有しています。病気や治療のことで悩んでいた患者さんが、フォーラムに参加することで表情が明るくなったり、前向きになったりという姿をたくさん見てきました。全国各地の患者さんと「また来年も会いましょう」とお話し、1年後にまた多くの患者さんと会えることを楽しみに活動しています。その他にも、「いま」情報が欲しい患者さんにNewsletterを年2回お届けし、情報誌でも最新の情報をお伝えしています。

 また、患者さんやその家族の方が気軽に相談できるように、「つばさ血液相談センター」として電話相談を受け付けています。血液疾患に限ったことではありませんが、治療を進めるなかで、患者さんが納得した上で治療を進めることや、患者さんの疑問や不安をそのつど解消していくことはより良い治療のためにとても大切だと感じています。しかし、医療従事者だけでは対応できないこともあると思います。そのため、患者さんやその家族の方が気軽に相談できるように、電話相談を受け付けています。祝祭日を除く、火曜日・木曜日の12~17時です。

息子が慢性骨髄性白血病に、骨髄バンク立ち上げに奔走

 私の息子は、1986年に慢性骨髄性白血病(CML)と診断されました。10歳になったばかりでした。当時CMLの唯一の根治療法だった骨髄移植は、ヒト白血球抗原(HLA)という型が妹と一致しないためにできませんでした。また、当時は今とは違い、CMLだけでなくがんやあらゆる疾患についての情報を自分で見つけることが難しい状況でした。

 そして、主治医から聞いた話の一部から、「アメリカには骨髄バンクというものがある」ということを知ることとなります。主治医は、「日本にも骨髄バンクのようなものがあれば、息子さんも骨髄移植による治療の可能性があるのですが…」と話しました。私は、息子はもちろん、それ以外にも骨髄移植を必要としている患者さんのために、「日本にも骨髄バンクを立ち上げたい」と考え、1987年に「全国骨髄バンクの早期実現を進める会」を立ち上げました。そしてすぐに、骨髄移植を受けたい患者さんとその家族ばかりではなく、骨髄移植で患者さんを治したいと考えている医師も数多くいることを知ります。その他にも、研究者やボランティアの方など多くの方々の協力を得て、骨髄バンクの必要性を訴えるため奔走することになりました。

 会を立ち上げてからは、全国各地を飛び回り、さまざまな場所でさまざまな方々とお話をしながら、骨髄バンクの必要性を政治や行政、そして社会全体に知ってもらえるように活動しました。中でも「骨髄バンクの早期実現を希望する議員請願署名」では77万人分もの直筆署名が日本中から集まり、これを国会に提出できたことは、非常に効果的な活動だったと思います。その年(1989年)の国会で竹下登総理大臣(当時)によって「骨髄バンクは必要である」という答弁が出され、骨髄バンクは成立しました。この国会答弁が通達されて骨髄バンクの準備が開始し、1991年12月に、ようやく日本骨髄バンク(当時:骨髄移植推進財団)が稼働します。しかし、それから3か月後、息子は亡くなりました。息子は、骨髄バンクの設立・稼働に間に合いませんでしたが、2018年現在、ドナー登録は48万人を超え、累計移植数は2万1000件を超えています。

「生きるために」から「どう生きていくか」にシフトした治療方針

 さまざまな活動を通じて私が大切だと感じていることは、「患者さんやその家族が、病気や治療についてしっかりと学ぶこと」です。現在、血液疾患の多くは、医学の進歩により治療の選択肢が増えています。治療の考え方も、「生きるために」から「どう生きていくか」にシフトしています。血液疾患を取り巻く環境は、大きく変わりました。多くの薬が開発されて骨髄移植は選択肢のひとつとなり、多くの治療選択肢がある時代になりました。一方で、治療費の問題、治療による妊孕性(にんようせい)の問題、治療後の長期フォローの問題がこれからの取り組むべき課題だと考えています。患者さんのより良い治療とより良い生活につながる情報を、これからも発信していきます。

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血液がん
地域
全国
  
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活動内容
血液情報広場・つばさは、血液疾患患者さんとその家族を支援するNPO法人です。専門家による情報発信などを中心に行っています。全国各地で開催しているフォーラムの運営や、Newsletterひろばや情報誌「つばさ」を定期的に患者さんへお届けすることなどを活動内容としています。

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