CAR-T療法「キムリア」、2つの血液がんを適応に欧州で承認

2018/09/26

文:がん+編集部

 CAR-T療法として米FDAから初の承認を受けたキムリアが、B細胞性急性リンパ芽球性白血病とびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を適応として欧州委員会(EC)に承認されました。日本でも申請中のため、早期の承認が期待されます。

B細胞性急性リンパ芽球性白血病とびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の適応

 スイス・ノバルティスは8月27日、CAR-T療法「CTL019」(チサゲンレクロイセル(製品名:キムリア))について、2つの血液がんに対する適応で欧州委員会(EC)が承認したことを発表しました。承認された適応は、小児と25歳以下の難治性または移植後の再発または2回目以降の再発であるB細胞性急性リンパ芽球性白血病(ALL)と、成人の2ライン以上の全身療法を行った後の再発・難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫です。

 CTL019は、患者さん自身のT細胞を採取し、がん細胞やその他の細胞に発現するCD19を認識してがん細胞を攻撃するように遺伝子を導入したあと、患者さんに戻す免疫細胞療法です。

 B細胞性ALLとDLBCLはどちらも悪性度が高く、患者さんによって治療法は大きく異なります。ALLでは、標準治療後に再発した患者さんの予後は不良だとされています。そのため、新しい治療選択肢が求められていました。

 DLBCLは悪性リンパ腫の中で最も発生頻度が高いといわれています。再発した患者さんや初期治療で効果がみられない患者さんにとって、持続的な効果が得られる治療選択肢は限られています。また、自家造血幹細胞移植(ASCT)に適さなかったり、ASCTの効果がみられなかったりする患者さんでは生存率が低くなります。

 日本では、2018年4月にCTL019の承認申請が行われています。米FDAでもすでに承認されており、日本での承認が期待されます。