多発性骨髄腫の新薬Selinexor、2019年上半期には米国で発売へ

2018/10/16

文:がん+編集部

 5剤抵抗性の多発性骨髄腫の新薬Selinexorが、米FDAの優先審査の対象として承認申請を受理されました。承認されれば、2019年上半期には米国でSelinexorが発売される予定です。

5剤抵抗性の多発性骨髄腫の新薬、優先審査の対象として申請受理

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 米カリオファーム社は10月5日、5剤抵抗性の多発性骨髄腫の新しい治療薬Selinexorについて、米国食品医薬品局(FDA)が優先審査の対象として承認申請を受理したと発表しました。同剤について、日本などアジア諸国での独占的な開発および商業化するライセンス契約をカリオファーム社と結んでいる小野薬品工業株式会社が10月10日、同社のニュースリリースで公表しました。

 5剤抵抗性の多発性骨髄腫とは、ボルテゾミブ(製品名:ベルケイド)カルフィルゾミブ(製品名:カイプロリス)レナリドミド(製品名:レブラミド)ポマリドミド(製品名:ポマリスト)ダラツムマブ(製品名:ダラザレックス)での治療歴があり、治療効果がみられなくなった多発性骨髄腫のことです。

 FDAの優先審査は、標準的な新薬の承認申請と比較して、重篤な疾患の治療、診断や予防において、安全性や有効性に顕著な改善をもたらす可能性があると判断された医薬品に対して行われます。FDAが承認した場合、2019年上半期には米国でSelinexorが発売される予定だそうです。

 Selinexorは、細胞が本来持つ腫瘍抑制機能を再び活性化し、その働きを強くする働きがあります。そのため、正常な細胞にはほとんど影響を与えずに、がん細胞が細胞死(アポトーシス)を起こすように誘導すると考えられています。現在、日本では多発性骨髄腫と非ホジキンリンパ腫患者さんを対象に、Selinexorの第1相臨床試験を実施しています。