ダコミチニブ、EGFR遺伝子変異のある転移性非小細胞肺がんの一次治療薬として米国で承認

2018/10/18

文:がん+編集部

 ダコミチニブという新薬が、EGFR遺伝子変異のある転移性非小細胞がんの一次治療薬として、アメリカで承認されました。日本でも承認申請中の薬剤で、承認が期待されます。

日本では承認申請中の新薬ダコミチニブ

 米ファイザー社は9月27日、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)のダコミチニブ(米国製品名:VIZIMPRO)について、EGFRエクソン19欠失またはエクソン21 L858R置換変異がある転移性非小細胞肺がん(NSCLC)の一次治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)が承認したことを発表しました。

 今回の承認は、第3相臨床試験ARCHER 1050試験」の結果に基づくものです。ARCHER 1050試験では、第2世代EGFR-TKIのダコミチニブと第1世代EGFR-TKIのゲフィチニブ(製品名:イレッサ)を比較検討しました。

 ARCHER 1050試験の結果、ダコミチニブを投与した患者さんでは、無増悪生存期間(PFS)※1の有意な改善が示されました。PFSの中央値は、ダコミチニブを投与した患者さんで14.7か月、ゲフィチニブを投与した患者さんでは9.2か月だったそうです。ダコミチニブを投与した患者さんで多くみられた有害事象は、下痢、発疹、口内炎、食欲減退などでした。重篤な有害事象は、ダコミチニブを投与した患者さんの27%に認められました。多く認められた重篤な有害事象は、下痢と間質性肺疾患だったそうです。

 EGFRは、細胞の成長と分裂を促進するタンパク質です。EGFRタンパク質が変異すると、がん細胞の形成が引き起こされる可能性があります。EGFR遺伝子変異はNSCLC患者さんの10~35%にあるといわれ、エクソン19欠失とエクソン21 L858R置換変異が多くみられます。

 日本国内では、EGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発NSCLCの効能・効果でダコミチニブの承認申請が行われています。

※1 奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。