膵臓がんリスク、果物をよく食べる人で低下

2018/10/22

文:がん+編集部

 果物の摂取量が多い人は、膵臓がんリスクが低いという研究報告が発表されました。リスクの低下は、非喫煙者でより明確だったそうです。

非喫煙者でより明確に、特定の野菜では明らかにならず

  国立研究開発法人国立がん研究センターは10月16日、多目的コホート研究から「果物と野菜摂取と膵がん罹患の関連について」の結果を発表しました。同センターの社会と健康研究センター予防研究グループによると、果物摂取と膵臓がんの罹患リスクの低下との関連が認められたそうです。

果物・野菜摂取と膵がん罹患リスク

画像はプレスリリースより

 今回の研究は、45~74歳の男女約9万人を約16.9年間の追跡した調査に基づき、果物と野菜の摂取量と膵臓がんの罹患との関連を検討したものです。果物(17品門)、野菜(29品目)の摂取量によって4つのグループに分け、最も少ないグループと比較して、その他のグループでがんの罹患リスクが何倍になるかを調べるという方法で検討されました。その結果、全果物摂取量の最も多いグループでは、最も少ないグループに比べて膵臓がんの罹患リスクが低下していたそうです。さらに、果物摂取と膵臓がんの罹患リスクの低下の関連は、非喫煙者でより明確だったそうです。また、特定の野菜では膵臓がんリスクとの関連は明らかになりませんでしたが、全野菜摂取と膵臓がんの罹患リスク増加の関連は、喫煙者では統計学的に有意な傾向がみられたそうです。

 研究グループは、今回の研究に対して「果物摂取は、膵がん罹患のリスク低下と関連が認められました。果物に含まれる、ビタミン等の抗酸化成分が膵がんのリスク低下に関係していると考えられました。一方で、野菜摂取は、リスク増加との関連が認められましたが、喫煙者でリスクの増加が顕著になることから、野菜とタバコに含まれる成分との相互作用の可能性が考えられましたが、明確な理由はわかりませんでした。今回の研究は、日本人において、これまででは最大規模ではありますが、症例数が必ずしも多くはなかったので、偶然の結果の可能性も否定できません。日本人を含むアジアにおける疫学研究が少ないため、さらなる研究の蓄積が必要です」とコメントを発表しています。