悪性黒色腫、BRAF阻害薬とMEK阻害薬の併用療法が承認取得
2019/01/22
文:がん+編集部
BRAF遺伝子陽性の根治切除不能な悪性黒色腫に対して、BRAF阻害薬エンコラフェニブ(製品名:ビラフトビ)とMEK阻害薬ビニメチニブ(製品名:メクトビ)の併用療法が、承認されました。
ビラフトビ+メクトビ併用療法、治験で無増悪生存期間を延長
小野薬品工業株式会社は1月8日、BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫に対する効能・効果で、BRAF阻害薬エンコラフェニブとMEK阻害薬ビニメチニブの併用療法が生存販売承認を取得したと発表しました。今回の承認は、国内外で行われた国際共同第3相試験COLUMBUS試験の結果に基づくものです。
COLUMBUS試験は、BRAF遺伝子変異がある局所進行性、切除不能または転移性の悪性黒色腫に対する治験です。ベムラフェニブ(製品名:ゼルボラフ)単剤を対照薬として、エンコラフェニブ単剤、エンコラフェニブとビニメチニブ併用療法を比較し、その有効性と安全性を評価する臨床試験です。同臨床試験に参加した患者さんは、以下の2つのパートに無作為に割り付けられました。
パート1では、577人の患者さんが1:1:1で無作為に割り付けられ、エンコラフェニブ450mg(1日1回)+ビニメチニブ45mg(1日2回)併用療法、エンコラフェニブ300mg単剤、ベムラフェニブ960mg単剤が投与されました。エンコラフェニブ単剤の最大耐用量は300mgですが、エンコラフェニブとビニメチニブを併用すると忍容性が改善することから、高容量のエンコラフェニブの投与が可能となり、併用群では最大耐容量よりも50%多い、450mgがその容量として設定されました。その結果、エンコラフェニブ450mg+ビニメチニブ45mg併用療法の無増悪生存期間※1の中央値は14.9か月で、対照群のベムラフェニブは7.3か月で、無増悪生存期間の中央値を統計学的に優位に延長することが示されました。
なお、パート2では、344人の患者さんを3:1で無作為に割り付けられ、エンコラフェニブ300mg+ビニメチニブ45mgの併用療法またはエンコラフェニブ300mgが投与され、ビニメチニブとエンコラフェニブ併用療法におけるビニメチニブの寄与を評価するのに役立つ追加データを得られるようにデザインされました。
COLUMBUS試験
対象:局所進行性の切除不能または転移性黒色腫
条件:BRAF V600変異を有する患者
フェーズ:第3相臨床試験
試験デザイン:国際共同無作為化非盲検
登録数:921人
試験群1:エンコラフェニブ450mg(1日1回)+ビニメチニブ45mg(1日2回)併用療法
試験群2:エンコラフェニブ300mg(1日1回)+ビニメチニブ45mg(1日2回)併用療法
試験群3:エンコラフェニブ単剤300mg(1日1回)
対照群:ベムラフェニブ単剤960mg(1日2回)
主要評価項目:無増悪生存期間
副次的評価項目:全生存期間※2、全奏効率※3ほか
※1:奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。
※2:患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。
※3: 治療によって、がんが消失または30%以上小さくなった患者さんの割合のことです。完全奏効(CR)(腫瘍が完全に消失)と、部分奏効(PR)(腫瘍が30%以上小さくなる)を足して、治療患者の総数で割ったものです。