オプジーボ+低用量ヤーボイ併用療法、腎細胞がんの治験で継続的な長期生存効果

2019/02/27

文:がん+編集部

 未治療の進行または転移性腎細胞がん治験CheckMate-214試験の最新結果が発表されました。ニボルマブ(製品名:オプジーボ)と低用量イピリムマブ(製品名:ヤーボイ)併用療法が、引き続き長期生存ベネフィットを示したそうです。

オプジーボ+低用量ヤーボイ併用療法、中高リスクの腎細胞がん患者の30か月生存率は60%

 小野薬品工業株式会社は2月15日、未治療の進行または転移性腎細胞がん患者さんに対する、ニボルマブと低用量イピリムマブ併用療法を評価したChecMate-214試験の最新結果を発表しました。最短30か月の追跡調査で、ニボルマブと低容量イピリムマブ併用療法に無作為に割り付けられた中高リスクの患者さんは、スニチニブ(製品名:スーテント)群と比べて引き続き有意な全生存期間※1の延長が見られたそうです。また、30か月時点での奏効率※2は、前回の解析結果と比較して改善されました。

 ChecMate-214試験は、未治療の進行または転移性腎細胞がん患者さん1390人を対象とした無作為化非盲検第3相臨床試験です。ニボルマブと低用量イピリムマブ併用療法群の患者さんには、ニボルマブ3mg/kgを2週間間隔で投与され、スニチニブ群の患者さんにはスニチニブ50mgを1日1回、4週間投与2週間休薬で継続されました。主要評価項目は、中および高リスク患者さんの全生存期間、無増悪生存期間※3、奏効率です。

 同試験の最新結果では、中および高リスク患者さんの30か月生存率は、併用療法群が60%、スニチニブ群が47%で、奏効率は併用療法群が42%、スニチニブ群が29%でした。完全奏功率は、併用療法群が11%、スニチニブ群が1%という結果です。中および高リスク患者さんも含めた全患者さんでも同様に、有意な改善が認められています。

 米テキサス大学MDアンダーソンがんセンター、がん医学部門、泌尿生殖器腫瘍内科のNizarM. Tannir医師は「ChecMate-214試験の今回の30か月の追跡調査の結果は、高いアンメット・メディカルニーズが残されている進行腎細胞がんの患者さんにおいて、ニボルマブとイピリムマブの併用療法が長期的な生存ベネフィットをもたらす可能性を継続的に示しており、重要な意味を持っています」とコメントしています。

ChecMate-214試験

対象:未治療の進行または転移性腎細胞がん
条件:根治的手術または放射線療法を受けられない患者
フェーズ:第3相臨床試験
試験デザイン:無作為化非盲検
登録数:1390人
試験群:ニボルマブ+低容量イピリムマブ併用療法
対照群:スニチニブ
主要評価項目:中/低リスクの全生存率、無増悪生存期間、奏効率
副次的評価項目:全リスクの全生存率、無増悪生存期間、奏効率

※1:患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。
※2:治療によって、がんが消失または30%以上小さくなった患者さんの割合のことです。
※3:完全奏効(CR)(腫瘍が完全に消失)と、部分奏効(PR)(腫瘍が30%以上小さくなる)を足して、治療患者の総数で割ったものです。奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。