乳がん初、免疫チェックポイント阻害薬がFDAで承認

文:がん+編集部

 免疫チェックポイント阻害薬アテゾリズマブ(製品名:テセントリク(R))と化学療法(nab-パクリタキセル)の併用療法が、トリプルネガティブ乳がんに対して米国食品医薬品局(FDA)で承認されました。

PD-L1発現トリプルネガティブ乳がん、アテゾリズマブ+化学療法が有効

 中外製薬は3月12日に、腫瘍中のPD-L1発現が認められた切除不能な局所進行または転移性のトリプルネガティブ乳がんに対する、アテゾリズマブとパクリタキセル(アルブミン懸濁型)の併用療法が、FDAで承認されたことを発表しました。今回の承認は、同治療法を評価した第3相臨床試験「IMpassion130試験」の結果に基づいた迅速承認です。

 IMpassion130試験は、未治療の進行または転移性のトリプルネガティブ乳がんを対象とした臨床試験です。アテゾリズマブ+パクリタキセル(アルブミン懸濁型)併用とプラセボ+パクリタキセル(アルブミン懸濁型)を比較して、無増悪生存期間※1や全生存期間※2などで評価されました。

 中間解析では、アテゾリズマブ+パクリタキセル併用は、プラセボ+パクリタキセルに対してITT解析集団※3およびPD-L1のバイオマーカー検査により定義したPD-L1発現が認められる患者さんのサブグループの両集団において、病勢進行および死亡リスクの低下が認められました。ITT解析集団では、全生存期間の延長は統計学的な有意差は認められませんでしたが、PD-L1発現が認められる患者さんでは、臨床的に意義のある全生存期間の延長が認められました。しかし、この延長は、まだ統計学的に検証的とは言えないため、フォローアップとして解析が継続されています。

 今回は、無増悪生存期間のデータに基づいたもので、重篤または生命を脅かす疾患・状態についてアンメットメディカルニーズを満たす薬に対しての迅速承認です。そのため、本適応に関する承認の継続には、検証試験での臨床的有用性の確認が必要となります。切除不能な局所進行または転移性のトリプルネガティブ乳がんの新たな治療法として継続承認されるための、フォローアップ解析の結果が期待されます。

IMpassion130試験

対象:切除不能な局所進行または転移性トリプルネガティブ乳がん
条件:全身薬物治療を受けていない患者
フェーズ:第3相臨床試験
試験デザイン:無作為化、平行群間、二重盲検
登録数:900人(1対1で割付)
試験群:アテゾリズマブ+パクリタキセル(アルブミン懸濁型)併用療法
対照群:プラセボ+パクリタキセル(アルブミン懸濁型)併用療法
主要評価項目:無増悪生存期間、全生存期間
副次的評価項目:奏効率、奏功期間、患者さんの全体的な健康状態/Health-Related QoLの悪化までの期間

※1:奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。
※2:患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。
※3:ITT解析とはIntention-to-treat analysis(「治療の意図」による分析、治療企図解析)の略です。治験などで当初割付けられたままで解析された集団のことです。