国立がん研究センター中央病院が、がん患者さんの生活を支えるイベント開催

文:がん+編集部

テーマは「はたらく」。セミナー会場では患者さんの質問続々

 がんの治療に伴い、がん患者さんは生活上で様々な課題に直面します。多岐に渡る課題に、どのように対応していったらよいのでしょうか。国立がん研究センター中央病院は、2016年に患者サポート研究開発センターを開設し、患者さんの生活の質(QOL)を重視したチーム医療に力を入れています。去る3月16日(土)、同院でがん患者さんの療養生活に役立つ工夫を紹介するイベント「がん患者さんのサポートと生活の工夫展2019」が開催されました。

 同院で日頃行っているケアを紹介する同展は、毎年およそ300人の患者さんやご家族が来場するそうです。2019年は「はたらく」をテーマに、4つのセミナーと9つの患者教室が開催されました。「『はたらく』ことを支える」と題したセミナーでは、同院相談支援センターの医療ソーシャルワーカー、ハローワークの就職支援ナビゲーター、社会保険労務士の3講師が登壇。就労世代のがん患者数が増えているなかで、がんと共に生き、働く時代であるとして、治療しながら働くことで「経済面の保証」「モチベーションの維持」「社会とのつながり」が得られ、利用できる制度の選択肢も多いと説明しました。3講師はそれぞれ、治療と仕事の両立について事例を紹介しながら解説。講義終了後の質疑では、たくさんの方が手を挙げていました。

 さらに、同院栄養管理室の栄養士による治療中の食事に関するセミナーや、同院アピアランス支援室の心理士による、外見の悩みへの対処法のセミナーでは、多くの方が熱心に耳を傾けていました。精神腫瘍科の医師が講師を務めたセミナーでは、心のケアの観点から、自分らしい生活をすることの大切さを説明。ハード、ソフトの両面から、就労へ向け患者さんを支えるメッセージが発せられました。聴講した患者さん、ご家族からも活発な質疑が寄せられ、関心の高さが窺われました。

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展示コーナーより

療養生活に役立つ情報提供、質問や相談にも対応

 同展ではセミナーに加え、患者教室も開催。腕・足に分かれてセルフケアの指導を受けながら体験できる「リンパ浮腫ケア教室」や、抗がん剤治療を生活にうまく取り入れる工夫を紹介する「抗がん剤治療教室」、乳がん術後の乳房再建術や補整下着を紹介する「乳がんボディイメージ教室」を開催。いずれも満席となる盛況ぶりでした。

 薬剤師が副作用対策やくすりの飲み方を教えてくれる相談コーナーや、親ががんに罹患した子どもを対象にした体験コーナーも。ほかにもさまざまな情報やグッズを紹介する展示・体験コーナーも設けられ、同院スタッフが質問に答える姿もみられました。治療だけでなく、患者さんの生活全般を支援するさまざまな情報に接することができる、貴重な一日でした。

 同イベントは毎年開催されており、来年も引き続き開催予定とのこと。療養生活に役立つ情報を求める方には、またとないよい機会となりそうです。こうした取り組みを行う病院が、全国に広がることが期待されます。