タグリッソ、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん1次治療薬として優先審査品目に指定
2018/02/14
文 がん+編集部
標準1次治療と比べて無増悪生存期間を延長
アストラゼネカ株式会社は2月5日、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬のオシメルチニブ(製品名:タグリッソ)が厚生労働省から優先審査品目に指定されたことを発表しました。
タグリッソは、EGFR T790M変異陽性進行非小細胞肺がんの治療薬として米国、EU、日本、中国を含む50か国以上で承認されています。また、術後補助療法や他の治療薬との併用療法においても開発中です。日本では、2016年3月に「EGFRチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性のEGFR T790M変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺がん」の適応で承認。2017年11月に、「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺がん」を予定の効能・効果として、製造販売承認事項一部変更承認を申請していました。これは、T790M変異の有無に関わらず、EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんの1次治療への適応拡大に向けた申請です。
今回の指定は、過去治療歴のない局所進行あるいは転移を有するEGFR遺伝子変異の非小細胞肺がん患者さんの1次治療における、タグリッソの有効性と安全性を検討した第3相FLAURA試験の結果に基づくものです。同試験の結果、オシメルチニブ投与群は、現在ファーストラインで使われているEGFRチロシンキナーゼ阻害薬のエルロチニブ(製品名:タルセバ)またはゲフィチニブ(製品名:イレッサ)投与群と比べて、2倍近く無増悪生存期間(PFS)を延長したとしています。
アストラゼネカ研究開発本部長の谷口忠明氏は、今回、オシメルチニブが優先審査品目に指定されたことに対して、「従来のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬は高い抗腫瘍効果を示しますが、1年以内に再発する患者が多いことが課題でした。タグリッソを1次治療から使用できる環境が整えば、薬剤耐性変異を抑制しつつ、脳転移に対しても高い有効性を示すことが期待され、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんの薬物治療成績の向上に寄与できるものと考えます」とコメントを発表しています。