切除不能な肝細胞がん対象の第1b相臨床試験結果を発表
2018/06/13
文:がん+編集部
切除不能な肝細胞がん患者さんを対象とするレンビマとキイトルーダの併用療法の第1b相臨床試験の結果が発表されました。安全性と有効性に関する良好な結果が示されたそうです。
レンビマとキイトルーダの併用療法
エーザイ株式会社と米Merck社は6月4日、分子標的薬のレンバチニブ(製品名:レンビマ)と免疫チェックポイント阻害剤のペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)の併用療法について、切除不能な肝細胞がん患者さんを対象とする第1b相臨床試験(116試験/KEYNOTE-524試験)の結果を発表しました。
この試験において、レンバチニブは体重によって12mg(60㎏以上)または8mg(60㎏未満)を1日1回経口投与し、ペムブロリズマブは3週ごと200mgを静脈内投与しました。主要評価項目として安全性を、副次および探索的評価項目として、全生存期間(OS)※1、全奏効率(ORR)※2、無増悪生存期間(PFS)※3および無増悪期間(TTP)※4などを評価しました。完全奏効(CR)※5または部分奏効(PR)※6は、最初に奏効が認められた時点から4週間以上経過した後の評価によって確定されました。
この試験は、パート1とパート2に分けられており、パート1では、適切な治療方法がない患者さん6人に対して、治療第1サイクルにおける用量制限毒性を含む忍容性※7を評価しました。忍容性の確認後、パート2では、全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞がんの患者さん24人が登録されました(2018年3月22日時点)。
この試験では、用量制限毒性は報告されませんでしたが、有害事象により患者さん4人の投与が中断されました。報告された主な有害事象の上位4つは、食欲不振(53.3%)、高血圧(53.3%)、下痢(43.3%)、疲労(40.0%)でした。
また、症例が予定数に達した時点のORRは42.3%で、2度目の画像診断による確定ORRは26.9%でした。PFS中央値は9.7か月でした。23人の患者さんについては、現在も治療継続中です。安全性と有効性に関する良好な結果に基づいて、患者さん登録数を拡大したそうです。
※1 患者さんが亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存してた期間のことです。
※2 がんに対して治療効果があった患者さんの割合のことです。今回の試験では、mRECISTという固形がんに対する効果を判定する際に用いられる評価基準に基づいて評価されました。
※3 奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。
※4 治療開始からがんが増殖して進行するまでの期間のことです。
※5 完全にがんが消失している状態のことです。
※6 がんが全体の30%以上消失した状態のことです。
※7 薬による有害事象(副作用)に、どのくらい耐えられるかの程度を認容性といい、有害事象に十分耐えられるときは「忍容性が高い」、耐えられないときは「忍容性が低い」と表現されます。