ポテリジオ、菌状息肉腫とセザリー症候群の適応で米FDAが承認
2018/08/21
文:がん+編集部
悪性リンパ腫の1種である皮膚T細胞性リンパ腫という希少がんに対して、ポテリジオが米FDAで承認されました。日本での適応拡大が期待されます。
ゾリンザと比較して、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長
協和発酵キリン株式会社は8月9日、モガムリズマブ(製品名:ポテリジオ)について、全身治療歴がある成人の再発性もしくは難治性の菌状息肉腫とセザリー症候群を適応として米FDAに承認されたことを発表しました。
菌状息肉腫とセザリー症候群は、皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)という皮膚のリンパ腫の主な病型です。皮膚のリンパ腫とは、悪性リンパ腫の種類のひとつで、皮膚組織の中のリンパ球ががん化したものです。早期の症状は皮膚症状ですが、進行するとリンパ節や他臓器に病変が広がっていきます。菌状息肉腫は、CTCLの50~70%を占めます。皮膚や血液、リンパ節や臓器に転移する進行の遅いリンパ腫ですが、重篤な感染症を引き起こすこともあります。セザリー症候群は、CTCLの約3%を占め、菌状息肉腫より進行が早い白血病型のCTCLです。
今回の承認は、MAVORIC試験という臨床試験結果に基づくものです。この試験の結果、モガムリズマブは、ボリノスタット(製品名:ゾリンザ)と比較して、無増悪生存期間(PFS)※1を有意に延長しました。
モガムリズマブは、菌状息肉腫とセザリー症候群など、特定の血液がん細胞に多く発現しているCCケモカイン受容体4(CCR4)を標的とした薬剤です。現在、日本では、「CCR4陽性の成人T細胞白血病リンパ腫」、「再発または難治性のCCR4陽性の末梢性T細胞リンパ腫」、「再発または難治性のCCR4陽性の皮膚T細胞性リンパ腫」を適応として承認されています。米国での承認を受けて、今後の適応拡大が期待されます。
※1 奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。