キザルチニブ、FLT3変異のある急性骨髄性白血病治療薬として希少疾病用医薬品に指定
2018/09/25
文:がん+編集部
FLT3変異のある急性骨髄性白血病(AML)治療薬として、キザルチニブが希少疾病用医薬品に指定されました。開発が支援・促進されることで、日本での早期承認が期待されます。
FLT3-ITD変異がある急性骨髄性白血病の治験で、キザルチニブが全生存期間を延長
第一三共株式会社は9月11日、キザルチニブがFLT3変異のある急性骨髄性白血病(AML)を対象に、厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を受けたと発表しました。
医療上の必要性が高い場合でも、患者数が少ないという理由で、国内では十分に研究開発が進んでいない状況があります。希少疾病用医薬品指定は、患者数が日本国内で5万人未満であること、医療上特にその必要性が高いものなどの条件を満たすものが指定される制度です。希少疾病用医薬品に指定された医薬品は、開発が支援・促進されます。
キザルチニブは、がん細胞の増殖に関わる受容体チロシンキナーゼのFLT3を阻害するAML治療薬です。FLT3-ITD変異がある再発または難治性のAML患者さんを対象とした第3相臨床試験QuANTUM-R試験 で、キザルチニブは既存の化学療法剤と比較して、全生存期間(OS)※1を有意に延長し、安全性でも新たな懸念は認められませんでした。
AMLは、骨髄で白血病細胞が異常に増殖することで、正常な血液細胞がつくられることが阻害される血液がんです。FLT3-ITD変異はAMLの中で比較的多くみられる遺伝子変異で、AML患者さんの約25%にあると考えられています。FLT3-ITD変異があるAML患者さんは、変異のない患者さんと比べて再発率が高く、生存期間が短いとされています。
※1 患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。