再発または難治性の急性骨髄性白血病 キザルチニブが全生存期間を有意に延長
2018/05/11
文:がん+編集部
急性骨髄性白血病の新たな治療薬キザルチニブと既存の化学療法剤と比較した第3相臨床試験の結果、キザルチニブが全生存期間を有意に延長したそうです。
AML患者さんの約30%にみられるFLT3-ITD変異
第一三共株式会社は5月8日、キザルチニブについて、再発または難治性の急性骨髄性白血病(AML)患者さんを対象とした第3相臨床試験「QuANTUM-R試験」で、既存の化学療法剤と比較して全生存期間(OS)を有意に延長したことを発表しました。
QuANTUM-R試験は、FLT3-ITD変異がある再発または難治性のAML患者さん367名を対象に欧米およびアジアで実施したグローバル第3相臨床試験です。初回寛解導入療法の後に再発または難治性となったAML患者さんに対して、キザルチニブまたは既存の化学療法剤のいずれかを投与しました。その結果、キザルチニブは既存の化学療法剤と比較して、主要評価項目であるOSを有意に延長したそうです。同試験で、安全性上の新たな懸念は認められませんでした。同試験結果の詳細は、今後、学会で公表する予定です。
AMLは、骨髄で白血病細胞が異常に増殖することで、正常な血液細胞をつくることが阻害される血液がんです。FLT3-ITD変異はAMLの中で比較的多くみられる遺伝子変異で、AML患者さんの約30%にあると考えられています。FLT3-ITD変異があるAML患者さんは、変異のない患者さんと比較すると、再発率が高く、生存期間が短いとされています。
キザルチニブは、がん細胞の増殖に関わる受容体チロシンキナーゼのFLT3を阻害するAML治療薬です。FLT3-ITD変異がある再発または難治性のAML治療を対象に、米国食品医薬品局(FDA)より優先審査指定を受けており、AML治療を対象に希少疾病用医薬品指定をFDAと欧州医薬品庁(EMA)より受けています。現在、QuANTUM-R試験の他に、再発または難治性のAML患者さんを対象とした国内第2相臨床試験、AMLの一次治療の適応の取得を目的としたグローバル第3相臨床試験を実施しています。