PD-1、CTLA-4に続く第3の免疫チェックポイント「LAG-3」の免疫抑制メカニズムを解明

2018/10/26

文:がん+編集部

 免疫細胞の表面にある「LAG-3」の免疫抑制メカニズムが明らかになりました。LAG-3を標的とした新しいがん免疫治療の開発が期待されます。

オプジーボやキイトルーダに代表される免疫チェックポイント阻害薬

LAG-3
画像はリリースより

 徳島大学は、10月22日、免疫チェックポイント分子「LAG-3」による免疫抑制のメカニズムを明らかにしたと発表しました。

 先日、「免疫チェックポイント阻害薬」の開発につながった京都大学の本庶佑特別教授らの研究がノーベル賞を受賞しました。本庶氏らの研究により、免疫細胞の表面にある「PD-1」と、がん細胞の表面にある「PD-L1」が結合すると、免疫細胞によるがん細胞への攻撃が抑制されることが明らかになりました。この“免疫チェックポイント”を働かないようにする薬が、ニボルマブ(製品名:オプジーボ)ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)といった免疫チェックポイント阻害薬です。

 LAG-3は、PD-1と同じく免疫細胞の表面にある分子です。LAG-3は、すでにさまざまな疾患の治療標的として研究開発が進められていましたが、その免疫抑制のメカニズムはよくわかっていませんでした。

 今回、研究グループは、LAG-3が自己免疫疾患の発症に関わるヘルパーT細胞を抑制していることを明らかにしました。LAG-3を阻害する薬を1型糖尿病マウスに投与したところ、ヘルパーT細胞応答が進んだそうです。LAG-3はT細胞の表面に存在しますが、細胞の「外側にはたらく部分」と「内側にはたらく部分」に分かれています。今回の研究から、LAG-3が細胞の内側から抑制シグナルを伝えていることがわかりました。

 研究グループは、「LAG-3を標的とすることによって、既存の免疫チェックポイント阻害剤とは異なる視点の新規がん免疫療法の開発が可能になると考えられます」とコメントしています。