胆道がんの再発

胆道がんの手術後の予後因子、再発に対する治療法、支持療法(緩和ケア)を紹介します。

胆道がんの予後因子

 胆道がんに対する根治的治療は手術ですが、術後に局所や遠隔部位に再発することがあります。術後の予後不良因子として挙げられているものがいくつかあります。

胆管がんの術後予後不良因子

 肝門部領域胆管がんでは、胆管切離断端および剥離面にがんが残ってしまう「遺残」のほか、「組織学的分化度」「リンパ節転移」「神経周囲への浸潤」「主要血管への浸潤」などが、術後予後不要因子として報告されています。

 遠位胆管がんで重要な予後規定因子は、完全切除です。すなわち、切除断端および剥離面に遺残がないことが最も重要とされています。その他、「リンパ節転移」「膵臓への浸潤」も重要な予後因子とされ、そのうちリンパ節転移が2個までの場合、切除することで予後は良好という報告があります。神経周囲浸潤を剥離した面の遺残は、重大な予後不良因子とされています。

胆のうがんの術後予後不良因子

 胆のうがんの術後予後因子として、「患者因子」「腫瘍因子」「治癒因子」の3つが報告されています。

 患者因子としては、「年齢」「男性」「黄疸」が予後不良因子とされています。また、栄養状態の評価方法である「グラスゴー予後スコア」も予後規定因子になる可能性が報告されています。

 腫瘍因子としては、「壁深達度」が代表的です。その他の腫瘍因子として「占拠部位」「肝十二指腸間膜浸潤」「組織学的分化度」「リンパ節転移」「リンパ管・神経周囲浸潤」などがあります。

 治療因子としては、「術後の組織学的検査で偶然発見された胆のうがんに対する二次的切除の有無」「切除断端がん陽性」が予後不良因子とされています。

十二指腸乳頭部がんの予後不良因子

 十二指腸乳頭部がんは、胆道がんのなかでも切除率が高く、予後も比較的良好とされていますが、「膵臓への浸潤」「リンパ節転移」は、予後不良因子とされています。膵臓への浸潤が、5~20mm、20mm以上と浸潤の程度が高くなるにつれ、予後不良とされています。また、4個以上のリンパ節転移は、より少ない1~3個に比べて予後不良という報告があります。

胆道がんの再発治療

 胆道癌診療ガイドライン改訂第3版によると、ランダム化比較試験で認められた二次化学療法は現状ありませんが、ゲムシタビン+シスプラチン併用療法後の二次治療として、フルオロピリミジン系抗がん剤による化学療法が提案されています。

 また、S-1単剤療法を評価した臨床試験では、奏効率7.5~22.7%、無増悪生存期間の中央値が2.5~5.5か月、生存期間の中央値が7.3~13.5か月と報告されており、S-1は胆道がんの治療薬として保険適用されているため、二次治療薬としても広く使われています。

 また、マイクロサテライト不安定性(MSI-H)が高い患者さんに対しては、標準治療が困難な場合に限り、免疫チェックポイント阻害薬のペムブロリズマブが提案されています。

切除不能胆道がんを対象とした二次治療の臨床試験一覧

2次治療1次治療患者数奏効率(%)無増悪生存期間(中央値)年生存期間(中央値)年報告年
フルオロピリミジン系ベースゲムシタビンベース
S-1ゲムシタビンベース407.52.57.32013
S-1ゲムシタビン2222.75.413.52012
5FUまたはカペシタビンゲムシタビン+プラチナ製剤26102.882017
カペシタビン+セレコキシブゲムシタビンベース35(5)※394.24.82009
5FU-ドキソルビシン+マイトマイシンゲムシタビンベース31(16)※312.92.36.72009
FOLFOX4※1ゲムシタビン+シスプラチン3721.63.16.82014
その他ゲムシタビンベース
ゲムシタビン+シスプラチンゲムシタビン+S-12003.65.92011
ゲムシタビン+オキサリプラチン+セツキシマブゲムシタビン+オキサリプラチン922.2472007
スニチニブゲムシタビンベース/5FUベース5691.7132012
トラメチニブゲムシタビンベース2002.7推定不能2015
トラメチニブ(vs5FUまたはカペシタビン)ゲムシタビン+プラチナ製剤2781.34.32017
トラメチニブ+パゾパニブ標準治療※22553.66.42017
BGJ398(インフィグラチニブ)ゲムシタビン+シスプラチン4722推定不能推定不能2018
ARQ087(デラザンチニブ)標準治療※23517推定不能推定不能2017
JNJ-42756493(エルダフィチニブ)全身治療※21127.35.1推定不能2017
エベロリムス化学療法※2395.13.27.72014
イマチニブ化学療法※2902.64.92011
SPI-1620+ドセタキセルゲムシタビン3010.32.642017
ペムブロリズマブ標準治療※22416.7推定不能推定不能2015
ゲムシタビンベースフルオロピリミジン系ベース
ゲムシタビン5FU326.91.64.12011

※1 ロイコボリン200mg/m2 に、5-FU持続静注が600mg/m2に減量され、かつロイコボリン2時間の点滴静注後、5-FU持続静注の前に5-FU400mg/m2を投与
※2 ゲムシタビンベースと予測される治療
※3 膵臓がんを含む(胆道がんの患者数)
出典:胆道癌診療ガイドライン改訂第3版.第IV章.CQ38.表1より作成

胆道がんの支持療法(緩和ケア)

 切除不能の胆道がんで、全身状態の低下や減黄不良などの理由により化学療法を行うことができない場合には、疼痛コントロールなどQOLの維持を目的に緩和ケアが行われます。

 切除不能な胆道がんに対して、延命、ステント開存性維持、減黄、疼痛緩和を目的に放射線治療が行われることがあります。胆道癌診療ガイドライン改訂第3版では、「放射線治療により予後の延長とともにステント改善期間が延長する傾向にある」と記載されています。

 緩和ケアは、患者さんががん治療中も自分らしく過ごすために、がんの治療に伴う身体的な痛みや心のつらさなどを和らげるために行われます。緩和ケアは全て、がんが進行し治療法がなくなってから受けるものと誤解されることもありますが、正しくは、がんが見つかったときから治療中も必要に応じて行われるものです。

 緩和ケア病棟や緩和ケアを専門にする病院では、緩和ケアに関しての専門的な知識と技術をもつ緩和ケアチームによるケアが受けられます。

 入院治療中でも通院治療中でも緩和ケアは受けられます。手術による痛みはもちろん、化学療法によるつらい副作用の緩和、治療に対する不安や将来に対する不安など、さまざまなつらい症状を緩和するためのケアが受けられます。在宅療養中でも、在宅ホスピスや在宅緩和ケアを行う在宅医や訪問看護師による緩和ケアが受けられます。介護保険も申請すれば利用できるので、自宅で療養を続けることもできます。

参考文献
日本肝胆膵外科学会編 胆道癌取扱い規約第7版.金原出版
日本肝胆膵外科学会胆道癌診療ガイドライン作成委員会編 胆道癌診療ガイドライン改訂第3版.医学図書出版.

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