胆道がんの基礎知識

胆道がんとはどんな病気なのか、症状、罹患率、生存率など基礎知識を紹介します。

胆道がんとは

 胆道は、胆管、胆のう、十二指腸乳頭部の3つの部分の総称です。胆管は、肝臓内にある肝内胆管と肝臓外にある肝外胆管の2つに大きく分けられます。胆のうは、肝臓でつくられた胆汁という消化酵素を一時的に溜め濃縮する働きがあります。濃縮された胆汁は、十二指腸に送られ、十二指腸乳頭部から分泌されます。

 胆道がんは、発生した部位により分類されます。胆管にできたがんは、胆管がんといい、そのうち、肝内胆管にできたがんは「肝内胆管がん」、肝外胆管にできたがんは「肝外胆管がん」といいます。肝外胆管がんは、さらに「肝門部領域胆管がん」と「遠位胆管がん」の2つに分類されます。肝門部領域胆管がんは肝臓から胆のうまでの胆管にできたがんで、遠位胆管がんは胆のうから十二指腸までの胆管にできたがんです。また、胆のうにできたがんは「胆のうがん」、十二指腸乳頭部にできたがんは「十二指腸乳頭部がん」といいます。

  • 肝内胆管がん
  • 肝外胆管がん
  • 胆のうがん
  • 十二指腸乳頭がん

胆道がんの症状

 胆道がんの初発症状は、3つの部分により異なります。

 胆管がんの初発症状は、胆管の閉塞による黄疸が最も多く約90%とされています。次に多いのが体重減少で約35%、腹痛が約30%です。

 胆のうがんの初発症状は、右上腹部痛が約50~80%、黄疸が約10~44%、悪心嘔吐が約15~68%、体重減少が約10~72%とされています。

 十二指腸乳頭部がんの初発症状は、黄疸が約72~90%と最も多く、続いて発熱や腹痛などが挙げられます。

胆道がんの罹患率と生存率

 国立がん研究センターのがん統計2018年によると、同年に、新たに胆のう・胆管がんと診断された人は、男性1万1,926人、女性1万275人、合計2万2,201人でした。男性は70歳後半をピークに、その後は横ばい傾向でしたが、女性は年齢とともに増加傾向でした。2020年に胆道がんで亡くなった人は、男性が9,357人、女性が8,416人でした。

 2009年~2011年に何らかのがんと診断された人全体の5年相対生存率は、64.1%でした。一方、胆道がんに限って見ると、5年相対生存率は男性26.8%、女性22.1%でした。2002年~2006年に胆道がんと診断された人の10年相対生存率は、男性18.5%、女性15.5%でした。

 胆道がんの進行度によるサバイバー5年相対生存率(2002~2006年診断)は、以下の通りです。サバイバー生存率は、診断から一定年数後に生存している人のその後の生存率で、1年サバイバーの5年相対生存率は、診断から1年後に生存していた人に限った5年相対生存率です。

0年サバイバー

  • 限局:男性55.9%/女性55.3%
  • 領域:男性19.7%/女性14.5%
  • 遠隔:男性1.6%/女性1.8%

1年サバイバー

  • 限局:男性66.3%/女性67.9%
  • 領域:男性33.3%/女性27.9%
  • 遠隔:男性10.2%/女性9.6%

2年サバイバー

  • 限局:男性76.1%/女性77.5%
  • 領域:男性48.7%/女性45.0%
  • 遠隔:男性31.6%/女性22.3%

3年サバイバー

  • 限局:男性81.6%/女性86.2%
  • 領域:男性59.1%/女性60.3%
  • 遠隔:男性52.0%/女性27.2%

4年サバイバー

  • 限局:男性86.0%/女性90.6%
  • 領域:男性69.6%/女性74.2%
  • 遠隔:男性-/女性-

※遠隔の4年サバイバーの5年相対生存率の統計データなし

5年サバイバー

  • 限局:男性89.5%/女性92.2%
  • 領域:男性78.1%/女性77.8%
  • 遠隔:男性-/女性-

※遠隔の5年サバイバーの5年相対生存率の統計データなし

 胆道がんの進行度による10年相対生存率(2002~2006年診断)は、以下の通りです。

  • 限局:男性50.0%/女性51.0%
  • 領域:男性15.4%/女性11.3%
  • 遠隔:男性1.5%/女性0.3%

限局:原発臓器に限局している
領域:所属リンパ節※転移(原発臓器の所属リンパ節への転移を伴うが、隣接臓器への浸潤なし)または隣接臓器浸潤(隣接する臓器に直接浸潤しているが、遠隔転移なし)がある
遠隔:遠隔臓器、遠隔リンパ節などに転移・浸潤がある

※原発巣と直結したリンパ経路をもつリンパ節の集まり

胆道がんのリスク要因

 胆道がんの疫学調査では、肥満が胆のうがんのリスク要因とされています。また、糖尿病や妊娠なども、胆石の発症を増加させるため、胆道がんとの関連が示唆されています。

胆管がんのリスク因子

 胆管がんでは、「膵・胆管合流異常」「原発性硬化性胆管炎」「肝内結石」「化学物質」「肝吸虫の感染」などがリスク因子とされています。

 膵・胆管合流異常は、胆管と胆管が十二指腸壁の外で合流する先天性の形成異常です。この異常により、膵液と胆汁の相互逆流が起こるため胆管上皮障害から、がんの発生につながると考えられています。

 原発性硬化性胆管炎は、繊維化を伴った胆管の狭窄や拡張による胆汁のうっ滞(消化管運動が止まってしまうこと)から胆管炎、肝硬変へと進行する原因不明の疾患です。発がんの原因は、慢性炎症によると推測されています。

 肝内結石による胆道粘膜への持続的刺激や慢性炎症は、発がんに関わると考えられています。また、化学物質「ジクロロメタン」と「1,2ジクロロプロパン」の暴露は、胆管がんの原因と考えられています。東南アジアや西太平洋地域の風土病である、寄生虫の肝吸虫感染も、慢性胆管炎からがん化するリスク要因の1つとされています。

胆のうがんのリスク因子

 胆のうがんでは、胆管がんと同様に「膵・胆管合流異常」のほか、「胆のう胆石」「胆のうポリープ」「感染症」「胆のう腺筋腫症」などがリスク因子とされています。

 「胆石の大きさが3cm以上」「症状がある」「胆石の保有期間が長い」などは、胆のうがんのリスク因子とされています。

 胆のうポリープは、胆のうに限局した小さな隆起性病変(ポリープ)です。腫瘍性病変ががん化することがありますが、その割合はわかっていません。また、サルモネラ菌の感染による慢性炎症は、がん化の原因と考えられています。

 胆のう腺筋腫症は、胆のう壁が厚くなる疾患です。胆のう壁が厚くなることで胆汁うっ滞が起こり、結石やがん化につながると考えられていますが、確かなエビデンスはありません。

十二指腸乳頭部がんのリスク因子

 十二指腸乳頭部がんの疫学的にエビデンスのあるリスク因子は、報告されていません。

参考文献:
日本肝胆膵外科学会胆道癌診療ガイドライン作成委員会編 胆道癌診療ガイドライン改訂第3版.医学図書出版.
国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)
全国がん罹患モニタリング集計 2009-2011年生存率報告(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター, 2020)
独立行政法人国立がん研究センターがん研究開発費「地域がん登録精度向上と活用に関する研究」平成22年度報告書

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