食道がんの基礎知識

食道がんとはどんな病気なのか、症状、罹患率、生存率など基礎知識を紹介します。

食道がんとは

食道は、口から食べた食物を胃に送る管状の臓器で、大部分は胸の中にあります。食道の構造は内側から、粘膜(粘膜上皮・粘膜固有層・粘膜筋板)、粘膜下層、固有筋層、外膜でできています。

日本食道学会が2008年に行った全国調査によると、食道がんは約50%が胸部中央食道に発生し、組織型は扁平上皮がんが約90%で、腺がんは4%でした。

  • 発生部位
  • 胸部中部食道:約50%
  • 胸部下部食道:約25%
  • 胸部上部食道:約12%
  • 腹部食道:約6%
  • 頸部食道:約5%

食道がんの症状

初期の食道がんでは、自覚症状がほとんどなく、進行とともにさまざまな症状が現れます。

がんが大きくなることで食道が狭くなり、飲食物がつかえやすくなることで食事量が減り体重減少が起こります。がんがさらに大きくなり、食道の壁を越えて周囲の臓器に浸潤していくと胸の奥や背中の痛み、咳、声のかすれなどの症状が起こることがあります。

食道がんの罹患率と生存率

国立がん研究センターのがん統計2023年によると、2019年に新たに食道がんと診断された人は、男性2万1.719人、女性4,663人、合計2万6,382人で、男女比が約5対1でした。男女ともに70歳前後をピークに、その後は減少傾向でしたが、女性は80歳代後半から再び増加傾向でした。2022年に食道がんで亡くなった人は、男性が8,800人、女性が2,100人でした。

2013年~2014年に何らかのがんと診断された人全体での5年相対生存率(がん診療連携拠点病院)は、67.5%でした。一方、食道がんに限って見ると、5年相対生存率は47.7%でした。2009年に食道がんと診断された人の10年相対生存率(がん診療連携拠点病院)は、34.2%でした。

食道がんの進行度による5年相対生存率(2013~2014年診断)は、以下の通りです。

  • ステージ1:78.7%
  • ステージ2:50.8%
  • ステージ3:26.9%
  • ステージ4:8.6%

 食道がんの進行度による10年相対生存率(2009年診断)は、以下の通りです。

  • ステージ1:79.7%
  • ステージ2:66.1%
  • ステージ3:38.6%
  • ステージ4:19.1%

※各がんのがん罹患率、生存率の最新情報は、がん情報サービス「がんの統計」をご参照ください。

食道がんのリスク要因

食道がんのリスク要因は、「飲酒」と「喫煙」で、発生頻度の高い扁平上皮がんは、この2つの要因が重なるとリスクが増加することが知られています。世界保健機関(WHO) の下部組織である国際がん研究機関(IARC)は、アルコール飲料に含まれるアセトアルデヒドを発がん性の高い物質に指定しました。また、栄養状態の低下、果物や野菜を摂取しないことによるビタミン欠乏もリスク因子とされ、緑黄色野菜や果物の摂取は、予防因子とされています。

参考文献: 参考文献: 日本食道学会 食道癌診療ガイドライン2022年版.金原出版
がん情報サービス.冊子「がんの統計」2023

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