相談:高齢の父親の膀胱がん、「経過観察」と「緩和的放射線治療」の選択は

放射線治療 緩和ケア

春に90歳の父親が膀胱がんと診断され、CT検査では、膀胱の左上壁に幅7mm、高さ4mmの乳頭状隆起性病変が認められました。夏に再度CT検査を受け、少し増大しているとの診断を受けています。見つかった時点で、主治医と相談し、90歳と高齢なこと、腎機能低下や前立腺肥大などもあることから、リスクの高い外科的手術や抗がん剤などは一切行わず、高齢の体に負担をかけない経過を見守る選択にしました。

膀胱炎、発熱、排尿痛はありませんが、最近になり、オレンジ色の血尿が出たり、小さな血の塊が出ると父親から話がありました。春の診察時に、担当医から「もし血尿が酷くなれば、放射線治療で応急処置の考慮もある」といわれていました。まだ様子を見ていますが、早めに放射線治療をした方が良いのでしょうか。

(家族、女性)

回答:局所進展による膀胱出血の症状改善を目的に放射線療法を推奨

日本泌尿器科学会の「膀胱癌診療ガイドライン」によると、膀胱がんの治療に関するポイントは下記の通りです。

・局所進展による局所症状の膀胱出血の症状改善を目的に放射線外照射療法が推奨されています
・多くの研究で、放射線治療による有害事象の頻度は低く、症状緩和の高い効果が報告されています
・膀胱出血に対する緩和効果は高く、約70~90%の患者さんに有意な出血緩和効果が得られ、50~60%で完全緩解が得られると報告されています
・初期効果は高いものの6か月目の評価で 69%の患者さんに再出血が認められ、症状改善後の再増悪までの期間は中央値で6か月と報告されており、長期制御が課題です

病態はそれぞれの患者さんで異なります。...

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