アビラテロン+プレドニゾン+ADTの併用療法、日本人前立腺がん患者さんの全生存期間と画像上の無増悪生存期間延長

2018/02/20

文:がん+編集部

内分泌療法未治療のハイリスクの予後因子がある前立腺がん患者さんを対象とした臨床試験結果

 ヤンセンリサーチ&ディベロップメントは2月9日、アンドロゲン除去療法(ADT)とアビラテロン(製品名:ザイティガ)および低用量プレドニゾン(日本未承認)の併用療法と、ADTとプラセボ群と比較した臨床試験「LATITUDE試験」のサブグループ解析を発表しました。内分泌療法を行っていなかったハイリスクの予後因子がある日本人の前立腺がん患者さんの全生存期間と画像上の無増悪生存期間の延長が確認されたとしています。有害事象は、両群とも97%でしたが、プラセボに対してアビラテロンで10%以上多くみられた有害事象は、高血圧、低カリウム血症、肋骨骨折、血尿、高ビリルビン血症でした。重度の有害事象であるグレード3と命を脅かす有害事象であるグレード4の発言率は、アビラテロン群が66%、ADT群が20%でした。

 前立腺がんは、前立腺内にとどまるがんから、リンパ節や骨といった前立腺以外の部位に転移しているがんなど、さまざまです。LATITUDE試験の対象は、前立腺がんの悪性度を数値化したグリソンスコアが8以上、骨スキャンで3か所以上の骨病変がある、CT/MRIで測定可能な内臓転移(リンパ節への転移は除く)がある、といった因子のうち、少なくとも2つの因子がある患者さんで、内分泌療法を行ったことのないハイリスクの予後因子がある患者さんとしています。

 内分泌療法を行っていないハイリスクの因子がある前立腺がん患者さんの予後は不良だといわれています。日本では、ハイリスクの予後因子がある前立腺がんは、新たに診断される前立腺がんの約10%を占め、現状の標準治療としてADTが推奨されています。

 千葉県がんセンター泌尿器科部長の深沢賢先生は今回の結果を受けて、「LATITUDE試験における日本人サブグループにおける有効性と安全性の結果は、LATITUDE試験の全体集団の結果と一貫していることが明らかになりました。アビラテロン+プレドニゾン+ADTは、内分泌療法未治療のハイリスクの予後因子がある前立腺がんの日本人患者さんの予後を改善する新しい治療選択肢となりえます」と述べています。