国がん、がんの相対生存率5年・10年最新データを公開

2018/03/06

文:がん+編集部

10年相対生存率、54.2%から55.5%に上昇

 国立がん研究センターは2月28日、全国がんセンター協議会に加盟する32の専門診療施設の診断治療症例について、がんの部位別5年・10年相対生存率を集計したデータを公開しました。

 生存率には、実測生存率と相対生存率があります。実測生存率は、死因に関係なく全ての死亡を計算に含めた生存率のことで、がん以外の死因による死亡も含まれます。そのため、がん以外の死亡を排除して計算した生存率が、相対生存率です。一般の人の生存率を、がんに罹患していなかった場合の期待生存率として計算し、がん患者さんの実測生存率を、期待生存率で割って算出します。

 5年相対生存率については、2007~2009年に診断治療を行った症例の中の13万2,869症例を対象に実施し、22種類の部位を算出しました。全部位全臨床病期の5年相対生存率は、67.6%でした。1997年の62.0%から少しずつ改善しています。これは、化学療法や放射線治療、早期発見技術の進歩が貢献していると考えられるとしています。

 部位ごとに集計した結果、5年相対生存率90%以上が前立腺(100%)、乳(93.5%)、甲状腺(92.1%)、70%以上90%未満が子宮体(85.6%)、大腸(76.0%)、子宮頸(74.8%)、胃(74.5%)など、50%以上70%未満が卵巣(62.2%)、30%以上50%未満が肺(42.7%)、食道(43.3%)、肝臓(35.3%)、30%未満が胆のう胆道(26.4%)、膵臓(9.3%)でした。

 10年相対生存率については、2001~2004年に診断治療を行った症例の中の5万7,147症例を対象に実施し、18種類の部位を算出しました。全部位全臨床病期の10年相対生存率は55.5%でした。前回の2000~2003年の全部位全臨床病期の10年相対生存率は58.5%でしたが、今回とは違う計算方法を用いたといいます。前回の集計を今回と同じ方法で計算した場合、前回の結果は54.2%となり、今回の10年相対生存率が改善していることがわかりました。

 部位ごとに集計した結果、10年相対生存率90%以上が前立腺(92.4%)、70%以上90%未満が甲状腺(86.0%)、子宮体(79.0%)、乳(82.8%)、子宮頸(69.8%)など、35%以上70%未満が大腸(65.9%)、胃(64.3%)、腎(62.4%)など、30%以上50%未満が卵巣(44.5%)、肺(30.4%)など、30%未満が食道(28.4%)、胆のう胆道(15.2%)、肝臓(14.6%)、膵臓(5.0%)などでした。