8K技術を用いた腹腔鏡手術システム、大腸がん患者さん対象の臨床試験を開始

2018/03/20

文:がん+編集部

世界初、8K技術の医療応用におけるヒトを対象とした臨床試験

GGN病変
画像はリリースより

 国立がん研究センターと一般財団法人NHKエンジニアリングシステム、オリンパス株式会社、株式会社NTTデータ経営研究所は3月14日、日本医療研究開発機構「8K等高精細映像データ利活用研究事業」の支援により開発した8Kスーパーハイビジョン技術を用いた腹腔鏡手術システムで、大腸がん患者さんを対象に臨床試験を開始したことを発表しました。

 8K映像は、従来のハイビジョンの16倍にあたる3,300万画素の超高精細画像で、その密度は人間の網膜に迫るとされています。同研究は、日本発の8K技術を医療機器に応用する初めての試みです。その実用化により、がん手術がより精密かつ繊細に行えるようになり、腹腔鏡手術をはじめとする内視鏡手術の安全性と根治性を一層向上させることが期待されています。

 同プロジェクトは、8K技術を用いた新腹腔鏡手術システムの開発と、実用化・普及を目指し、2016年度より開始しました。2017年度は、新腹腔鏡手術システムの試作品が完成し、動物実験や医療機器安全性検査などを通じて性能を検証してきたといいます。また、腹腔鏡と8Kカメラ全体として解像度や色再現性、実物感など8K映像の性能を十分発揮できることや、医療機器としての安全性を一定レベルで確保できることを確認したとしています。

 8K技術の医療応用におけるヒトを対象とした臨床試験は世界で初めてです。2017年度は2例、2018年度は20数例に増やし検証を進めるそうです。この臨床試験で安全性と有用性を確認した後、先進医療での実施を目指して準備を進めるとしています。