消化器・腹部悪性腫瘍の患者さん対象のリキッドバイオプシーに関する臨床研究を開始

文:がん+編集部

血液から73種類の遺伝子の変化を一度に測定

GGN病変
画像はリリースより

 国立がん研究センターは3月13日、結腸・直腸がんを含む消化器・腹部悪性腫瘍の患者さんを対象とした血液などの体液サンプルを使った検査と診断(リキッドバイオプシー)に関する臨床研究を2018年2月より開始したことを発表しました。

 リキッドバイオプシーは、血中を循環する腫瘍DNAの断片を用いることで、今までの腫瘍組織の生検と比べて、患者さんへの負担が小さく、正確かつ迅速に解析することができます。

 今回、同センターは、結腸・直腸がんを含む消化器・腹部悪性腫瘍患者さんを対象としたリキッドバイオプシーに関する研究を開始。この研究では、血液から73種類の遺伝子の変化を一度に測定できる新しい遺伝子解析技術である「Guardant360(R)アッセイ」を導入します。これまでは、がんの組織検体を用いて遺伝子解析を行っていましたが、今回の研究では、消化器がん患者さんの血液(20ml)を用いて遺伝子を解析します。検体は米Guardant Health社に送られ、RAS、BRAF、PIK3CA、HER2、MET遺伝子異常など、がんに関連する73の遺伝子異常があるかどうかを調べます。遺伝子解析の結果は約2週間で判明するとしています。

 まずは、抗EGFR抗体薬による治療を行った経験のある大腸がんの患者さん約200名を対象としますが、今後は対象を全消化器がん患者さん約2000名に広げて、リキッドバイオプシーを使った遺伝子解析の有用性を確認する予定だといいます。また、この研究で特定の遺伝子異常が見つかった患者さんは、対応する治療薬の臨床試験へ参加できる可能性があるとしています。

 同センターは、「今回の研究の成果により、がん治療に結びつく血中の遺伝子異常や腫瘍組織の遺伝子異常との違いが明らかになれば、がんの遺伝子異常の変化の解明が進み、リキッドバイオプシーを用いた個別化医療の実現に向けた検討をすることが可能となる」とコメントしています。

 こうした技術が開発されることで、プレシジョン・メディシン(精密医療) による遺伝子異常や遺伝子に合わせた個別化医療の促進が期待されます。