ラムシルマブ、肝細胞がんの二次治療の有効性を検証した第3相試験で全生存期間の評価項目を達成
2018/04/09
文:がん+編集部
予後不良のAFP高値の肝細胞がん患者さんの二次治療として
米イーライリリー・アンド・カンパニーは4月4日、肝細胞がんの二次治療としてラムシルマブ(製品名:サイラムザ)の単剤療法の有効性を検証した第3相試験REACH-2試験の結果を発表しました。
REACH-2試験は、ソラフェニブ(製品名:ネクサバール)の投与継続が困難、ソラフェニブ治療中もしくは治療後に増悪し、腫瘍マーカーであるアルファフェトプロテイン(AFP)が高い数値(≥400ng/mLと定義)を示した肝細胞がんの患者さんを対象に、ラムシルマブとプラセボを比較した二重盲検プラセボ対照第3相国際共同試験です。AFPは、切除不能の肝細胞がんの患者さんの約半数が高い数値を示す腫瘍マーカーのひとつで、AFPが高い患者さんは一般的な肝細胞がんの患者さんと比較して予後が悪いとされています。
同試験の前に行われたREACH試験では、ソラフェニブによる一次治療後の二次治療として、ラムシルマブ単剤の有効性が検証されましたが、全生存期間(OS)の統計学的に有意な延長を示すことができませんでした。REACH-2試験では、AFP高値の患者さんを対象としたことで、主要評価項目であるOSと副次的評価項目の無増悪生存期間(PFS)ともに、延長が認められたといいます。
安全性に関しては、過去に行われたラムシルマブ単剤療法で認められたものと同様で、プラセボと比較して5%以上高く発現したグレード3以上の有害事象は、高血圧、低ナトリウム血症でした。
リリー・オンコロジーのグローバル開発・メディカル部門担当シニアバイスプレジデントLevi Garraway医学博士は、「切除不能な肝がんは、急速に進行し、予後不良な疾患です。そしてAFP高値の患者さんの予後は、更に不良です。もし二次治療に進めない場合、これらの患者さんの期待される生存期間は一次治療後からわずか数か月となります。このような現況でREACH-2試験の結果が肝細胞がん患者さんの予後に貢献できることを大変嬉しく思っています」とコメントしています。