オシメルチニブ、EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんの1次治療として新しいデータ発表
2018/04/18
文:がん+編集部
EGFR遺伝子に変異がある非小細胞肺がん患者さんへの1次治療薬として、オシメルチニブ(製品名:タグリッソ)の効果や安全性を検討した治験の結果、病状が進行後も持続的な改善効果が示されたそうです。日本では、オシメルチニブは1次治療として未承認ですが、1次治療として新たな標準治療となる可能性が期待されます。
病勢進行後も持続的改善効果を示す
英アストラゼネカは4月13日、EGFR遺伝子変異陽性局所進行あるいは進行転移非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんに対する、1次治療でのオシメルチニブ(製品名:タグリッソ)の効果や安全性を検討した第3相国際共同FLAURA試験の新たな病勢進行後のデータを欧州肺がん学会(ESMO)で発表しました。
オシメルチニブは、第3世代のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)と呼ばれており、現在は、EGFR-TKIによる1次治療で耐性ができた場合に使用できます。オシメルチニブの1次治療は、日本では未承認です。
FLAURA試験の結果、EGFR-TKI対照群(エルロチニブ(商品名:タルセバ)またはゲフィチニブ(商品名:イレッサ))の患者さんと比較して、データカットオフ※の時点で治療を中止していた患者さんの数は、1次治療としてオシメルチニブが投与されていた患者さんのグループのほうが少ない結果だったといいます(49%対77%)。
初回後続治療または死亡までの中央値は、1次治療としてオシメルチニブが投与されていた患者さんでは23.5か月で、エルロチニブとゲフィチニブを投与されていたグループの患者さんでは13.8か月でした。
1次治療としてオシメルチニブが投与されていた患者さんのEGFR-TKI療法中止までの期間は、2次治療でオシメルチニブの投与に変更された患者さんを含む対照群患者さんよりも長い結果を示したそうです。1次治療としてオシメルチニブが投与されていた患者さんのグループは、エルロチニブとゲフィチニブを投与されていた患者さんのグループに比べて、2次病勢進行または死亡のリスクがほぼ半分でした。
FLAURA試験でのオシメルチニブの1次治療の安全性データは、過去の臨床試験と一貫した結果だったといいます。グレード3以上の有害事象の発現率は、標準治療であるEGFR-TKIよりも低率で(34%対45%)、忍容性が確認されたとしています。
アストラゼネカグローバル医薬品開発担当エグゼクティブバイスプレジデント兼チーフメディカルオフィサーのSean Bohenは、「FLAURA試験の新たな分析により、タグリッソによる1次治療が後続治療後も2次進行または死亡リスクをほぼ半減する持続効果を持つことが分かりました。これらの結果は、臨床的に意味のあるタグリッソのPFS改善効果を補完し、タグリッソによる1次治療が新たな標準治療となる可能性を後押しするものと考えます」とコメントしています。
※患者さんの数が予定数に達した時点で、受け入れをストップすることです。