尿検査でがん(大腸がん・胆道がん・小児がん)を判別、実用化に向けた実証試験を開始

2018/04/19

文:がん+編集部

 2016年に成功した乳がん・大腸がん患者さんと健常者を識別する尿を使用したバイオマーカーの抽出と検査の実用化に向けた研究の実証試験が開始されます。今回は、大腸がん、胆道がん、小児がんを対象にして行われ、この検査が実用化されれば、今までの血液検査などの方法に比べて患者さんの負担が減り、手軽に検査を受けられることが期待されます。

尿を使って乳がん・大腸がん患者さんの識別に成功

GGN病変
画像はリリースより

 株式会社日立製作所は4月16日、尿を使用したがん検査の実用化に向けて実証試験を2018年4月より開始することを発表しました。今回の実証試験は、シミックファーマサイエンス株式会社や名古屋大学医学部附属病院の協力を得て実施する予定です。

 日立は、尿を使用したがん検査の研究を2015年から開始し、2016年6月には尿を使って、乳がん 患者さん・大腸がん患者さんとそうでない人を識別することに成功しました。しかし、検査の実用化に向けては、がん患者さんでない人の代謝物と比較したときにわずかに量が増減するがん関連のバイオマーカー候補を、効率的に抽出する方法の確立が課題となっていました。そこで今回は、尿中の代謝物からバイオマーカー候補を効率的に抽出できる新しいがん検査モデルを開発し、大腸がんと胆道がん、小児がんを対象として実証試験を行うとしています。

 尿を使用したがん検査が実用化されれば、今までの血液検査などの方法に比べて患者さんの負担が減り、手軽に検査を受けられることが期待されます。日立は、今回の実証試験を通して、尿を使用したがん検査の実用化に向けた研究を加速するとしています。