免疫チェックポイント阻害薬2剤による併用療法 根治切除不能な悪性黒色腫で承認

2018/05/31

文:がん+編集部

 根治切除不能な悪性黒色腫に対して、免疫チェックポイント阻害薬オプジーボとヤーボイの併用療法が承認されました。今後の適応拡大が期待されます。

全生存期間を有意に延長し、死亡リスクを45%低下

 小野薬品工業株式会社とブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社は5月25日、免疫チェックポイント阻害薬のニボルマブ(製品名:オプジーボ)とイピリムマブ(製品名:ヤーボイ)の併用療法について、根治切除不能な悪性黒色腫の適応で国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得したと発表しました。今回の承認は、国内で初めてのがん免疫療法薬2剤の併用療法の承認となります。

 ニボルマブとイピリムマブは、すでにそれぞれ単剤として「根治切除不能な悪性黒色腫」を対象に日本での承認を取得しています。今回の承認によって、ニボルマブ1回1mg/kg(体重)とイピリムマブ1日1回3mg/kg(体重)を3週間間隔で4回点滴静注、その後、ニボルマブ1回3mg/kg(体重)を2週間間隔で点滴静注する併用療法が可能となりました。

 未治療の根治切除不能または再発の悪性黒色腫患者さんを対象に国内で実施した第2相非盲検非対照試験(ONO-4538-17試験)の結果、ニボルマブとイピリムマブの併用療法では、主要評価項目の奏効率(ORR)は、33.3%でした。また、未治療の進行期悪性黒色腫の患者を対象に海外で実施された第3相無作為化二重盲検試験(Checkmate-067試験)の結果、ニボルマブとイピリムマブの併用療法は、イピリムマブの単剤療法と比較して、主要評価項目の全生存期間(OS)を有意に延長し、死亡リスクを45%低下させたそうです。これらの試験におけるニボルマブとイピリムマブの併用療法の安全性プロファイルは、ニボルマブとイピリムマブそれぞれの単剤療法と比較して顕著な差は認められなかったとしています。

 悪性黒色腫(メラノーマ)は、皮膚の色と関係が深いメラニン色素の産生能を持つ色素細胞(メラノサイト)ががん化した皮膚がんのひとつです。皮膚がんの中でも転移率が高く、悪性度が高いといわています。日本での悪性黒色腫の患者数は約4,000人で、年間約700人が悪性黒色腫により亡くなっていると報告されています。