HER3陽性の再発・転移性乳がん 新たな臨床試験結果発表

文:がん+編集部

 HER3陽性の再発・転移性乳がん患者さんを対象とした第1/2相臨床試験の結果の概要が発表されました。全奏効率が47%、病勢コントロール率が94%という結果が示されたそうです。

HER3に対する抗体薬物複合体の第1/2相臨床試験

 第一三共株式会社は6月1日、HER3陽性の再発・転移性乳がん患者さんを対象としたU3-1402の第1/2相臨床試験のデータの概要を発表しました。

 試験の結果、安全性については、3週間毎に体重1kg当たり1.6~8.0mgが投与された患者さん34名で、グレード3以上の有害事象として、血小板数減少(29%)、好中球数減少(27%)、白血球数減少(18%)、貧血(12%)などがみられました。また、用量制限毒性としてグレード4の血小板数減少(3名)、グレード3のALT※1増加(2名)、グレード2のAST※1増加(1名)がみられましたが、これまでに最大耐用量には達していないそうです。

 予備的有効性については、前治療を受けたHER3陽性の再発・転移性乳がん患者さん32名で、全奏効率※2が47%(15名/32名)、病勢コントロール率※3が94%(30名/32名)だったとしています。

 U3-1402は、HER3※4に対する抗体薬物複合体(ADC)です。ADCは、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体医薬を介して、薬物をがん細胞へ直接届けるため、薬物による副作用を抑えつつ、がん細胞への攻撃力を高めた薬剤です。U3-1402は、今回の試験に加えて、現在、非小細胞肺がん患者さんを対象とした第1相臨床試験を実施しています。

※1 肝機能障害の可能性や程度を測定する血液検査の項目のことです。

※2 腫瘍が完全に消失するか、30%以上減少した患者さんの割合です。

※3 腫瘍が30%未満減少から20%未満増加した状態で腫瘍が安定している状態の患者さんの割合と全奏効率の患者さんの割合を足したものです。

※4 HER3は上皮成長因子(EGFR)の1つです。上皮成長因子1~4つあり、ErbBファミリーとも呼ばれています。ErbB1=EGFR、ErbB2=HER2、ErbB3=HER3、ErbB4=HER4といいます。