小児がんにおける自家造血幹細胞移植の前治療薬を承認申請

文:がん+編集部

 小児固形腫瘍での自家造血幹細胞移植の前治療として、チオテパの承認申請が行われました。小児固形腫瘍は、化学療法に対する感受性が良好なため、造血幹細胞移植を伴う大量化学療法の有効性に期待が寄せられており、前治療薬としてチオテパの承認が待たれます。

海外での適応追加承認を受けて、臨床使用に関する多くの要望が

 大日本住友製薬株式会社は7月3日、チオテパ(開発コード:DSP-1958)について、小児固形腫瘍での自家造血幹細胞移植の前治療を対象とした国内における製造販売承認申請を行ったと発表しました。

 チオテパは、1958年に「テスパミン注射液」として住友化学工業株式会社(現:住友化学株式会社)が国内販売を開始し、1984年に住友製薬株式会社(現:大日本住友製薬株式会社)に承継されました。しかし、2008年にチオテパ原薬の製造が中止されたため、2009年に販売を中止し、現在国内では販売されていません。

 国内において、チオテパは造血幹細胞移植の前治療の適応がありませんでしたが、欧米での使用にならい、他の化学療法剤と併用して臨床使用されていました。2009年の国内販売中止後、2010年に欧州でチオテパ製剤が造血幹細胞移植の前治療薬として承認されたこともあり、学会などから臨床使用について多くの要望が出されました。それを受け、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議※1で医療上の必要性が高いと判断され、厚生労働省から開発企業の募集が行われ、大日本住友製薬株式会社に決定され、2016年11月より国内第1相臨床試験 を実施しました。今回の申請は、その試験結果を含めた内容によるものです。

 造血幹細胞移植は、抗がん剤や放射線照射を極量まで増やす骨髄破壊的な前治療を行って難治がんを根絶した後に、正常な造血幹細胞を経静脈的に輸注して造血能の再構築を図る補助療法です。患者さん自身の造血幹細胞を移植する、自家造血幹細胞移植では、移植された造血幹細胞に対する免疫反応を心配する必要がありません。そのため、前治療では、骨髄の最大耐用量を超える抗がん剤を用いた大量化学療法で、腫瘍細胞をできる限り根絶させます。日本造血細胞移植データセンターによると、国内の造血幹細胞移植件数は、1986年~2016年までの累積で93,902件、そのうち自家造血幹細胞移植は33,527件報告されているとしています。

 国内の小児がんの年間発症数は約2,500名(小児がん診療ガイドライン2016年版より)とされ、白血病などの血液がんを除く小児固形腫瘍の年間発症数は約1,300名とされています。小児固形腫瘍は、成人の固形腫瘍と比較して化学療法に対する感受性が良好で、造血幹細胞移植を伴う大量化学療法の有効性に期待が寄せられ、日常臨床の一環として移植が実施されています。日本造血細胞移植データセンターによると、小児固形腫瘍における造血幹細胞移植件数は、1991~2016年までの累積で3,276件、そのうち自家造血幹細胞移植は3,058件報告されているそうです。

 同社は、チオテパの悪性リンパ腫における自家造血幹細胞移植の前治療を対象とした申請の準備も進めているとしています。

※1 海外では使用が承認されていて国内では承認されていない医薬品や適応について、製薬企業による未承認薬・適応外薬の開発を促進することを目的としています。厚生労働省が主催し、医学的・薬学的な学識経験者で構成されています。

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